内容説明
本書は、自然科学的な心理学として独自の体系化を遂げつつある行動分析学の、我が国における最初の専門書である。Elementary Principles of Behavior(EPB)を土台に、随所にオリジナリティをもったまったく新たな本として誕生した。特に、第21章の「言語行動」はEPBにはないものである。また、「好子」「嫌子」「弱化」という用語をあえて提唱した。
目次
好子
好子出現による強化
嫌子消失による強化
嫌子出現による弱化
好子消失による弱化
消去と復帰
分化強化と分化弱化
シェイピング
強化スケジュール
生得性好子と生得性嫌子〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
28
人の行動がなにによって強化され、なにで弱化されるかを分析・研究する学問。あまり聞かない名前ながら読んでみると会社の評価システムやスポーツチームの練習などで使われている点があって驚いた。課題などは期限を決めた方がしっかりできるというのも本書の中で行動分析学的に紹介している。まずは対象とする行動を分析し、なにが好子(こうし、行動の頻度を上げる刺激)になっているのかあるいは嫌子(けんし、行動を避けたいと思う刺激)なのかを突き止め、変えていくという体系だった説明のおかげでとても分かりやすかった。2022/04/27
なくさ
4
オペラント条件づけからルール支配行動まで載っている。知識ゼロからこの本を読んでもいいが、やや重め。基礎から応用への橋渡しもしてくれる。ルール支配行動はこの本だけだと少し分かりにくい。これから行動分析をやろうというときに絶対に覚えておきたい知識「だけ」が載っているので、全部覚えておきたいところ。具体例も充実していて分かりやすいが、ジェンダー観が古臭く、セクシュアリティ論周りの記述には難あり。でも良書なのには間違いがない。2020/11/07
oyamadashokiti
3
分厚いが、講義中の対話をそのまま本にしたような構成なので読みやすかった。 人間の全ての行動は自分にとって良いこと(好子)を増やすか嫌なこと(嫌子)を減らすという言い方で説明できるというもの。(かなりざっくり言うと) 今までの心理学にはない、自然科学的なアプローチで、かなり衝撃を受けたし、これからどんどん発展していきそうな分野だなと思った。 本筋からは外れるが、確立したばかりのホットな学問の雰囲気も伝わってきて、そこもとてもおもしろかった。2014/05/20
シチミ
2
ある行動に好子が随伴すればその行動は強化され、嫌子が随伴すればその行動は弱化される。好子が随伴すると期待していたのに随伴されなけれは消去される。その組み合わせであらゆる行動の学習を考える的な。シンプルだが強力。使い方を間違うと怖いな。2020/05/11
愛沢 直樹
2
とっても分厚い行動分析学の教科書。初版を読んだ(改訂たなどあれば、コメントください?)のですが、ちょうど日本で行動分析学が流行り始めた火種となった本なので、歴史を考えながら見ると面白い。ただし、改訂されてない素のママの文章なので、誤字や、稀にある解説されていない用語の存在、貧弱な索引が気になる方もいると思われました。しかしながら、独学をする方にとっては、多くの行動分析学の実践例が取り上げられているため、理解が深まりやすいと思います。次は行動主義から生まれた認知心理学の本が読みたいですね!2018/10/05