内容説明
化学は他の科学、特に物理、数学と違ってわかりづらいと言う学生が多い。馴染みにくいと言う者も多い。その理由の1つに両者で使う言葉の違いがある。物理、数学の言葉は数式であり、化学の言葉は分子式である。高校になって初めて入ってきた異端の転校生のようなものである。アレルギーもわこうというものである。しかし、理由は実は、もう1つあるようである。それは、化学は覚えなければならないことが多い。暗記に頼らざるを得ない、というものである。なるほど、化学には覚えなければならないことはある。しかしそれはなにも化学に限ったことではない。多分これはこういうことであろう。化学には法則、原理、あるいは分子の性質、反応など、実にいろいろの項目があり、要するに全てを統一する理論がないと。本書の狙いはこの非難に答えることにある。化学は理論で積み上げられた科学である。基本の原理は一握りほどのものである。我々に要求されるのはこの、ほんの一握りの原理を理解することだけである。全ての事柄はこの原理の応用、解釈にすぎない。
目次
構造論(基本構造;ヘテロ原子を含む構造 ほか)
分子軌道論(局在π結合;非局在π結合 ほか)
物性論(発色性と発光性;芳香族性と結合異性 ほか)
反応性(光化学反応;分子内反応と分子軌道 ほか)