内容説明
山の動植物とのあいだに織りなされる暮らしや民俗、日本文化の内側にあって、ひそかに語り伝えられた異界のものがたり―。山の民俗のベテランたちが書き下ろした、とっておきの怪奇譚19篇。
目次
榛名山加護丸稲荷の霊異
上州奥多野山地の妖怪
奥那須安倍ヶ城の怪
奥秩父の妖怪ばなし
寄居冬住山浅間の怪
奥武蔵越生地方の妖怪ばなし
顔振峠の呪咀地蔵
丹沢の山霊・あとおいこぞう
八ヶ岳マモノ沢の犬隠し
上信越・山の怪奇ばなし
北アルプスの怪異伝説
梓川の水神の崇り
北アルプス山麓の怪異譚
飛騨宮川村の蛇変化
美濃徳山村のモノ達
火の玉・トンネル・片手の幽霊
京都北山怪奇噺
四国山地・惣川の不思議な話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつき号
11
郷土民俗学のような一冊。意外に面白かった。昨今の実話怪談の「昭和」的な素朴さで、その分聞き取り感が強く、面白かった。2017/05/25
アカツキ
9
山の不思議体験、民話を紹介した本。山の言い伝えや怪異との約束を破ってひどい目に遭うという話が多い。現代に近づくにつれて山姥や獣が減って幽霊話が増える。いろいろ話があったが、婆ちゃんが強盗2人を油断させて熱湯をぶちまけて倒した話が印象に残った。2025/06/29
りんか
1
どちらを向いても山だらけの国だけあって山にまつわる話は尽きない。お馴染みの化かされる話あり信仰の話あり民話のような話あり、なかなか面白い。2021/08/05
またたび
0
山にまつわる不思議な話。山のプロ達や山に暮らす人達が経験した奇妙な体験。霧の出る日は怪異が起こるという。殺生岩のような有毒ガスが霧に運ばれるのか、何かしらの植物に含まれるアルカロイドのような物による幻覚作用…であって欲しい。山には行かない…興味深い話は多かったけど。日本の殆どは山。未知の世界は広い。2017/08/03
amemosky
0
「山怪」がとても面白かったので、類した本を探して。柳田邦夫に啓発されて創設された山村民族の会編集による本書は、寄稿者によって語り口がまちまちで、それもまた民話を聞く面白みかな。ヤマンバを安産の神として祭っていたのが、信仰が失われて祭りも行われなくなり、今はお宮も荒れているといった話には、生活が変われば仕方がないこととはいえ、こうして日本中でどれほどのものが失われてきたのかと思うと寂しくなる。 木曽の蛇抜伝承のもとになった江戸城西の丸再建のための木材供出令。加賀藩黒部谷の伐採の祟り話がこの本に出てます。2015/10/30