内容説明
葛藤に適切に対処し、円援に解決することは精神衛生上も社会適応上も重要な課題です。葛藤解決は円滑な社会生活を送るために必須のスキルなのです。本書は、社会的葛藤について長年研究を重ねてきた著者が、学術的根拠を示しながら葛藤解決を困難にする心理的障壁の正体を明らかにし、これを打ち破る方策を検討していきます。
目次
1 社会的葛藤と紛争の社会心理学
2 社会的葛藤解決の心理的障壁―認知のバイアス
3 認知バイアスの背後にあるもの
4 社会的葛藤と感情
5 社会的葛藤解決の心理社会プロセス
6 社会的葛藤と人間関係
7 社会的葛藤解決における個人特性
著者等紹介
大渕憲一[オオブチケンイチ]
1950年秋田県に生まれる。1973年東北大学文学部卒業。1977年東北大学大学院文学研究科博士課程後期中退。現在、東北大学大学院文学研究科教授(心理学講座)。博士(文学)。研究領域、人間の攻撃性と対人葛藤(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くらすけ
8
様々な認知バイアスや感情、自尊心のニーズが対話による妥協や交渉を阻んでると学べた。2023/11/02
西嶋
3
興味深いテーマだったが、研究紹介の側面が強く、実生活に活かしたいとの目的で読むと、ちょっと期待外れの印象を受けた。2015/06/29
marcy
2
組織内の葛藤を中心に、個人間の交渉から外交をテーマにした研究まで、国内外の文献をふんだんに紹介している。葛藤はいろんな観点から分類できるものの、筆者は「葛藤争点は複数を含むことが多い」と指摘。たしかに利害関係の対立に、根本的な価値観の違いが相まって、こじれていくことは誰しも身に覚えがあるはずだ。印象に残ったのは、他者視点を持つよう意識すると自己・他者双方の利益のバランスをとるうえ、葛藤が解決後の満足度も高い、という研究だった。多様性の時代、いろんな価値観に触れて多面的な見方を身につけておきたい。2022/01/17
yurari
2
経験則で何となく分かっている事が、科学的に立証されている。感情が認知機能に与える影響で、「幸福感など快感情を抱いている人;努力を要する面倒な思考を嫌い、大雑把な作業を好む、悲哀感など深い感情の状態にある人:面倒な処理に耐え、緻密な思考を好む」というのが意外だった。それ以外は大体、認識している事とズレがなかった。2021/12/13
新橋九段
2
紛争の心理学というよりは、そのテーマに沿って社会心理学の知見をまとめ直したって感じかな。2016/06/27