出版社内容情報
本村洋[モトムラヒロシ]
著・文・その他
宮崎哲弥[ミヤザキテツヤ]
著・文・その他
内容説明
1999年、山口県光市で23歳の主婦と生後11か月の娘が殺害された。逮捕・起訴された18歳の「少年」の裁判をめぐり、遺族・本村洋氏は、被害者の置かれた理不尽な状況を率直に表明。司法、メディア、死刑廃止派の弁護士らを巻き込み、事件は社会現象となっていった。2012年、当初の「無期懲役」を覆し、被告の「死刑」が確定。事件直後から本村氏を支えてきた二人の書き手と共に、事件の全貌を振り返る。巻末に本村氏の最後の記者会見を全文収録。
目次
第1章 弁護士たち
第2章 事件発生
第3章 死刑とは何か?
第4章 脳と犯罪
第5章 テレビが伝えたこと
第6章 闘いの果てに
著者等紹介
本村洋[モトムラヒロシ]
1976年大阪府生まれ。会社員。98年、広島大学卒業後、新日本製鐵株式会社に入社(その後、新日鐵住金ステンレス株式会社へ転籍)。「全国犯罪被害者の会(あすの会)」幹事
宮崎哲弥[ミヤザキテツヤ]
1962年福岡県生まれ。評論家。慶應義塾大学卒業後、論壇誌での執筆やテレビのコメンテーターなど、多岐にわたる評論活動を行う
藤井誠二[フジイセイジ]
1965年愛知県生まれ。ノンフィクションライター。高校時代から様々な社会運動に参加し、文筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
128
2018/9/1 Amazonより届く。 2020/6/27〜7/1 先日、門田隆将氏の作品を読んだが、引き続き本人と、評論家の宮崎哲弥氏、藤井誠司氏との対談を収めた本。この裁判を通じて本村さん自身がすごく変わっていかれた様子が良くわかる。自分がもし同じ立場になったら、ここまで戦えるだろうか....死刑求刑の判決文も全文掲載されていた。今まで読んだことはなかったが、なかなか読むのに苦労する文体である。2020/07/01
壱萬参仟縁
15
犯人を弁護する必要はない。「ドラえもんがなんとかしてくれる」(6頁)などとうそぶいているのは正義に反する。本村さんの想像を絶する悔しさ、無念さ、犯人への憎悪を読者は共有してあげたいものだ。宮崎氏は、精神鑑定の動機や形成過程の検証、心理状態を調べる役割が期待されていることを指摘(53頁)。人間の醜いこころを評価することは難しい。藤井氏は、権力は市民との賛同と調和、教育により社会統合するから美しいので、暴力で社会を統治する事態は最悪と指摘(83頁)。戦争や死刑も悍ましい。本村さんの思想家知識にも頭が下がる。2013/12/22
ず〜みん
4
オウム事件の死刑執行があってから読む、被害者の想いの深さと執行の重さ。人権にはこの世とあの世用があって、あの世で真人間で過ごす為には、この世で真人間になって旅立つ必要があるんじゃないか、と宗教的なことを考えたり、そもそも日本の道徳概念は赦しではなく因果応報なので、死刑廃止は私刑へ移行する懸念がないかなとか、トルコはEU加盟の為に死刑廃止したんだから日本が廃止するならEU加盟したい時かな?など様々考えさせられた。宮崎哲弥氏は死刑廃止論者なのに、今の日本で廃止する怖さを知っててロジカルな人だな、とも思った。2018/08/04
ず〜みん
4
死刑確定した『光市母子殺害事件』。被害者の夫でメディア露出もよくしていた本村洋氏とジャーナリストの二人による対談。被害者にとって死刑判決確定は『おめでとう』なのか、社会が受け止めなくてはいけないことは何か、など事件を通じて書かれている。2013/02/18
lopmomo
3
この事件では幸い死刑が確定したが、過去にはこれよりひどい事件で死刑にすべき犯人が死刑になってないコンクリ殺人や神戸の事件などがあり、やるせない気持ちになる。左翼は加害者の不幸な生い立ちを主張するが、それなら他人に刃を向けるのではなく、根本原因となった親を殺めたら、加害者の心情を考慮することもあり得ると思う。なんの罪もない無関係の人を殺めた場合は命をもって償うのが当然であろう。この犯人が養子に入った大月という人の所属先住所に羅列される他の団体をネットで見たときは余計に反感を持った。2015/08/16