出版社内容情報
瀬戸内みなみ[セトウチミナミ]
著・文・その他
内容説明
現代日本は、東京オリンピックを目前に控え、確かに豊かで、銀座の街中の残飯を食い争うノラ猫も見受けなくなった整除された社会環境である。人間は、もともとヤマネコであった猫を飼いならし、ペットとして寵愛してきた。近年、猫ブームが巻き起こっているが、その裏では年間7万頭の猫が殺処分されている。身勝手な人間の“飼い捨て”が生んだ結果である。猫にとっての天国は都会にはない。むしろ少子高齢化が象徴的に進む島々こそ、猫にとってのパラダイスなのである。島々に暮らす猫とひとの真実とは…。
目次
ノラ猫の恋 福岡県・相島
アートと猫と夕日 香川県・男木島
なぎさの家の子どもたちと夢の猫 福岡県・地島
不思議の島の猫 宮城県・田代島
島の誇りと猫たち 愛媛県・青島
猫の幸せを決めるのは 岡山県・真鍋島
暮れゆく島の猫 香川県・佐柳島
楽園の理想を掲げよ 香川県・男木島再訪
「天売猫」族の未来 北海道・天売島
神の島に抱かれて 沖縄県・竹富島
大楠の木の下で 香川県・志々島
山根明弘先生インタビュー
著者等紹介
瀬戸内みなみ[セトウチミナミ]
1967年広島県生まれ。作家、ノンフィクションライター。上智大学文学部卒業後、会社勤務、英国留学等を経て、執筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
25
アメリカのCNNが認定した「世界六大猫スポット」に、日本から二つの島、私の地元「田代島」と福岡の「相島」が認定されているなんて、知りませんでした。人間の住んでない所に猫は住めません。どこでも一時期に比べると猫は減っているそうです。猫の世界と人間の世界はある意味相似形です。しかし、違うのは繁殖力です。妊娠率100%ですので何もせず放っておくという選択肢は今や取りにくく、地域猫や餌やり、ノミ取り、などのケアが必要となっています。また猫目当てに地域に行くのならある程度経済活動に協力する心構えも必要ですね。2017/07/07
まんだよつお
5
猫島とは徒歩で一周ができるくらいに小さくて、住民の数より猫の数のほうが多いと言われている島のこと。猫好きおじさんのぼくにとって、本書で紹介された11の猫島はまさに桃源郷、パラダイス。ぜひとも行ってみたい。しかし一見平和そうな猫島も、テレビの紀行番組や動物番組を見て訪れた観光客や、猫を捕獲し不妊・去勢手術する目的で訪れる自称「動物保護団体」にかき回されている。特に、人間が動物を管理することを良しとする西洋的思考のもと行動する後者は始末が悪い。もっと日本らしい穏やかな「猫と人間の共存」ができないものだろうか。2020/07/27
mick
5
読み始め、猫保護、猫島、観光、猫問題、猫と人の共生、島の高齢化、など、何が主眼なのかと、捉えどころのなさに戸惑った。だが半分ほどを読んだとき、こうしたことすべてが複合的な問題として存在し、またこれだという解決策がないということが、浮き上がってくることに気が付いた。個人的な考えはそれぞれあるだろうが、違う側面から考えることの大事さを思わされた。2017/09/21
おくてつ
4
去年、相島に行った後に書評を読んで購入。ぱらぱらと眺めていましたが、今回、CNNが選ぶ世界6大猫スポットである猴硐を訪れるにあたって、改めて通読。 ブームとなっている「猫島」を観光ガイドとして取り上げるだけでなく、そこに住んでいる人たちとの関係、島の振興、繁殖させるか否か、観光客の無秩序な餌やり問題と表と裏を取り上げている。 とはいえ、この本で取り上げられている猫島のうち、行ったことがあるのは相島と田代島の2か所。竹富島だとか、他の島にも機会があったら行きたいなとは思う。2018/01/07
韓信
1
日本各地の猫島ガイドのようなタイトルだが、実際は観光案内や猫の紹介ではなく、各島での人と猫との共生に関わる課題――高齢化、避妊、地域振興などを取り上げている。北海道の天売島から元祖猫島・宮城の田代島、瀬戸内海や福岡の島々、沖縄の竹富島までを紹介。猫島でもほとんどの島民は猫に無関心だったり、観光地化に抵抗があったりと、僕のような部外者の想像と現実はギャップがある。個人的には産業化に熱心でアートも楽しめる男木島や、道民なので一番近い天売島に行ってみたいが、本書はマナーを含めて訪問前の心構えとして読む価値がある2018/11/29
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