出版社内容情報
末井昭[スエイアキラ]
著・文・その他
春日武彦[カスガタケヒコ]
著・文・その他
内容説明
母の呪いを猫で解く!?
目次
猫と話す
鼻ちょうちんや巻き舌のこと
夫婦喧嘩は猫も食わないか?
猫の舌
母親の変形した投影
猫嫌い
キー坊の恋、母の恋
隣の女
結核のバリヤー
罪悪感、その他
壊れた母性本能と工場への失望
漫画もどき
野良たちに安泰はない
一家団欒
ラジオ体操と疥癬タヌキと老いた胎児
覆面レスラーと大工の源さん
ねじ曲がったマザコン
母子像と父子像
腹這いのキー坊と顔コンプレックス
今日はいい日、楽しい日
著者等紹介
末井昭[スエイアキラ]
1948年岡山県生まれ。工員、キャバレーの看板描き、イラストレーターなどを経て、1975年にセルフ出版(現・白夜書房)設立に参加。『NEW self』『ウィークエンドスーパー』『写真時代』『パチンコ必勝ガイド』などの雑誌を次々創刊する。2021年に白夜書房を退社。現在はエッセイスト、平成歌謡バンド・ペーソスのテナーサックス奏者として活動。2014年、『自殺』で第30回講談社エッセイ賞受賞
春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医として6年間勤務したのち精神科医に転向。都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長等を経て、現在も臨床に携わる。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
17
出たばかり、3月18日発行日と奥付けには載ってます。今や人にも知られるエッセイストとなった、パチンコ必勝ガイドもっと昔はウイークエンドスーパーの編集者である末井さんと精神科医の春日武彦さんとの往復書簡です。テーマは主に猫と母親についてです。末井さんの母親は言うまでもなく悲惨な亡くなり方をして、本人もそれを売りにして、自殺に関する本までだしているので、何が幸いするか分かりませんね。又一方の春日さんも、お母様は自宅で男に襲われて裁判まで起こして、相手を刑務所送りにまでした勇ましい方でした。秘密が沢山。2022/03/20
ほんままこと
10
精神科医春日武彦の文学的な味わい深い文章と、その身辺に多大な好奇心を喚起させられる末井昭との往復書簡は読者としてはお得感を覚える。母親が不倫の末ダイナマイト心中した末井氏に対し、春日氏の「人間の心の可塑性、柔軟性は個人差が大きく、いかなる過酷な生育史というストーリーがあっても、だからこうなった、と言う場合もあれば、にもかかわらずこうなった、という場合もある」という言葉に感銘を受けた。家族は厄介だ。春日氏の母の秘密も最後に明かされる。狂わないで生きるためには自分に正直であることだ。正直な往復書簡、猫が救い。2022/07/17
ちどり
6
猫へのまっすぐな愛と、母親への屈折した愛を語り合う往復書簡。ほんの時折りチラリと登場する妻たちの存在から、お二人の現在の安定と幸福が伝わって、じんわりと心が暖かくなる。2023/11/06
mick
2
猫と母という文学的に外せない、テーマによくあるような題名にまずつかまれる。滑稽でいて深刻で、でも現実感がなくて、そんなノンフィクションのような現実が往復書簡の形でつづられる。ともすると重さが勝ってしまうような内容なのだが、そこに猫という、天使のような、とらえどころのないような、存在があって、息をつくことができる。2022/06/13
Lieu
1
猫にももちろんいくばくかの過去の記憶はあるだろうし、人間が思っているほど気楽な稼業でもないのだろうが、過去とのつながりの中につねに現在の自分を定位せずにはいられない人間からすると、自由に現在を生きている感じがする。しかし70になっても母親の記憶について、過ぎたこととして悟るわけでもなくこういうふうに正直に語れる関係性は、男同士であればいっそう稀であろうが、とてもいいなと思う。2023/02/01