出版社内容情報
高槻成紀[タカツキセイキ]
著・文・その他
内容説明
キツネは“ずるい”、タヌキは“まぬけ”…そのイメージにはワケがあった!動物の「ステレオタイプ」はどこから生まれたのか!?生態学者がひもとく「ヒトと動物の関係」
目次
第1章 たくさんある動物にまつわる言葉
第2章 動物へのイメージはどこからきたのか?
第3章 ペットとしての動物
第4章 家畜としての動物
第5章 代表的な野生動物
第6章 利用される「野生」動物
第7章 動物観の変遷
第8章 私たちは動物とどう向き合うか
著者等紹介
高槻成紀[タカツキセイキ]
1949年鳥取県生まれ。東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。東京大学、麻布大学教授を歴任。現在は麻布大学いのちの博物館上席学芸員。専攻は生態学、動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
21
人間は自分の都合で動物にイメージをつけている。そのイメージや扱われ方、実際の生態が端的に書かれていて、面白く、時に考えさせられながら読みました。2020/03/10
いちりんご
16
図書館本。時代や環境が変わることで人間と動物の関係も変わっていっているんだなと改めて感じた。動物も昆虫も生きていて、人間が「かわいい!」って思うためだけに存在するわけじゃない。小さい頃、バッタとかを捕まえて競争させたりとか、ダンゴムシ飼ったりとかしてたのを思い出して、動物と直接関わる機会ってほんとに少なくなったなーと実感。偏見を持たないためにも正しい知識が必要だな〜2019/09/30
spatz
13
いまや通用しなくなった、動物が含まれる言い回しの意味や歴史的背景。人間の歴史生活の変化を抜きにしては説明がつかない。人間は生産者ではなく消費者となり、食べるものは生きた動物の体の一部だということを認識しなくなる。東西の認識の違。狼が西洋では悪魔的な負のイメージがあるのにたいして、日本では害獣の数を一定に抑えるための意義がある。どちらかといえば正のイメージ?しかしそのどちらもがある種畏怖の念を思い起こさせるものであろう。などなど。2021/03/29
遊々亭おさる
10
神様として崇められていたニホンオオカミは明治政府が施した教育改革により欧米の価値観が輸入され、次第に悪魔の象徴と見なされたことが絶滅に繋がった⁉我々が動物に対して抱いているステレオタイプなイメージの根源を歴史的・文化的な側面などから読み解きつつ、動物豆知識も豊富に紹介してくれる一冊。命に優劣を付け、人間を害する存在は徹底的な駆除の対象とする。実はこれ、無知や偏見が生んだ行いだとしたら?作物を荒らす害鳥であるスズメとも共存共栄の道を歩いたお百姓さん。無駄な殺生を控えるために必要なのは知識と日本人が歩んだ道。2018/07/01
yamakujira
8
動物にまつわる言葉を取り上げ、動物を野生動物と家畜とペットに類型化し、それぞれのイメージを解説してから、動物観の変遷に言及して、都市化した現代における課題を考察する。とても興味深いけれど、動物の「イメージ」を科学すると言いながら、どこが科学なのか首を傾げてしまう。殺すために育てる畜産業、膨張するペット産業、急激な人口増加、農業人口の減少、自然保護の矛盾などなど、本書の裏には多くの問題が透けて見えるのに、肝心の第8章は提言が乏しくて残念だった。「私の中でまだ発酵中」という著者の言に期待かな。 (★★★☆☆)2020/03/15