出版社内容情報
草薙厚子[クサナギアツコ]
著・文・その他
内容説明
なぜ『絶歌』は「2500日」を描かなかったのか?元東京少年鑑別所法務教官が手記の行間から読み解く「更生プログラム」の落とし穴と発達障害の可能性。
目次
第1章 元少年Aが「矯正教育」を書かなかった理由(わずか四行しかない「矯正教育」の記述;私が『2500日全記録』に記した矯正教育の全容 ほか)
第2章 元少年Aの「贖罪意識」と「自己肯定」(巻末の「謝罪文」に漂う違和感;「後悔」はしても「贖罪意識」はない ほか)
第3章 元少年Aの「性的サディズム」は矯正されたのか(裁判所が認定した「性的サディズム」;未発達だったAの性的中枢 ほか)
第4章 元少年Aの「広汎性発達障害」が見落とされた理由(事件の原因は「心」ではなく「脳」にあった;残酷なホラー映像を好むという特性 ほか)
第5章 『絶歌』をめぐる議論を検証する(被害者遺族や支援者は“どこ”に怒っているのか;出版されるまでの複雑怪奇な経緯 ほか)
著者等紹介
草薙厚子[クサナギアツコ]
元法務省東京少年鑑別所法務教官。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、ジャーナリスト、ノンフィクション作家として執筆するほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴
45
「絶歌」を読んだときの違和感を、この本が言葉にしてくれたといった感じ。少年Aを更正させるために、たくさんの大人が頑張ってきたのだろうに、それが全て無駄になったのは残念。2017/09/04
澤水月
26
表紙の志低い。アスペルガー障害者は…ゲームや漫画…ホラーや残虐描写など過激な映像を好む傾向があり模倣しようとする!この一文で全て台無し典拠データか発言者示せ。元本有名部の引用が何行、数度!もあり“美味しいとこ”読ませた事になる…今敢えてツイ傾向など意識した書き方にした、大事なことは先に簡潔に!アスペ診断されなかったの問題!が要点でそう悪くないのに実は今「アスペルガー」等々素人にキャッチーな名は使われぬ傾向知らぬ?と思ったら後書きにちゃんと…これ「為にする」。なら良書『アスペルガー症候群の難題』読もう2015/08/25
まあちゃん
24
「少年A 矯正2500日全記録」も「絶歌」も読んだ。更生施設を出た後、支援してくれていた人達から姿を消し、贖罪の気持ちもうすれ、自己顕示欲から本を出版。残念だ。2015/12/12
mana
12
モヤモヤを全部消化してくれた本。司法や更生の制度についても知れてよかった。本当に、絶歌の文体には気持ち悪さしかなかった。少年Aの更生に携わってきた教官や支援者たちを裏切る形で、自己顕示欲の塊としか言えない本を出版して、被害者をさらに苦しめて。本名や素性を隠して今もどこかでのうのうと生きているかと思うと吐き気がする。2019/08/17
わんつーろっく
11
「少年A矯正2500日全記録」著者の草薙氏による検証に興味があり手にとった。事件に対して後悔はしていても、その後悔は自分自身の現在の境遇や心情に向けられたものでしかなく、過剰な自己肯定、正当化、他者への想像力の欠如、遺族に対する配慮の無さなどを真っ向から指摘している。そして、少年事件はこころの闇や愛着障害だけでは解明出来ないとして、見落とされがちな「広汎性発達障害」を挙げている。勿論、短絡的な結びつきを否定し、早期発見・認知・適切な療育が大切だと強調するも、贖罪教育の難しさを痛感する。2019/11/03