出版社内容情報
NHKスペシャル取材班[エヌエッチケースペシャルシュザイハン]
著・文・その他
内容説明
アメリカ・ドイツ・中国など国内外で受賞多数。NHKスペシャル「釜石の“奇跡”いのちを守る特別授業」を書籍化。子どもたちの“犠牲者ゼロ”を生み出した防災教育と危機管理術。
目次
第1部 ぼくらは大津波を生きた(あの日、子どもたちは;あの日、先生たちは)
第2部 釜石に学べ(立て役者・片田敏孝教授の防災教育;釜石小が育んだ「生きる力」;反面教師としての「大川の悲劇」;全国の教育現場に広がる釜石の知恵;企業の危機管理にいかす)
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- 評価
震災を考え続ける本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
116
とにかく逃げる。これを身体に染み込ませた教育に感動した。「釜石の奇跡」の立役者、片田敏孝教授の「机に向かって論文一本書くよりも地域に入って住民と」との熱い想いが、この日の奇跡を生んだのだ。子どもらの行動が周りの命も救っている。自分で考え自分の命を守る。家族もそれぞれ自分の命を守りきると信頼する。この意識は広く、そして後世に伝えなければならない大切なこと。子どもたちが何より、伝えたいという思いを示している。「防災教育」とは「生き方の教育」だと記されている。命を守り抜いた子どもらの行動に泣けてたまらなかった。2018/03/13
まーちゃん
51
学校の教えをひたむきに実行し、家族を、仲間を、自分を守り切った釜石小の子どもたち。大津波という想像を絶する恐ろしい経験を、今後のために伝えなくてはと思う使命感。私も取材班同様思わず背筋が伸びた。「奇跡」は何もないところには決して起こらない。そこには子どもたちの未知なる可能性を育んだ教育があった。防災教育も決して最初から順風満帆だった訳ではない。一朝一夕に形を成した訳でもない。そんな積み重ねの上にしか咲かない花が多くのいのちを救い、この先もあちこちに大切なものを伝え続けるのだと思うと、胸がいっぱいになった。2017/04/30
HaruNuevo
38
子どもってすごいな。でも子どもの底力を発揮させられるかどうかは教育次第だというのも事実。 教育の現場で起こった必然のような奇跡、奇跡のような必然だけれど、仕事の場に持ち込めるものも多いと感じた。この感覚を大切にして、これから考えて行動していきたい。 ただ、問題は、じっくり考える時間が残されているのかどうか。 図書館本だったけど、手元に置くべき一冊なので改めて購入しようと思う。2025/04/22
壱萬参仟縁
28
多くの子どもたちが「あの日、津波を見てよかった」と異口同音に語った(85頁)。避難率わずか1・7%の衝撃(112頁)。正常性バイアス:自分は大丈夫(116頁)。避難を送らせる危険因子という。他人事ではない。津波防災教育のための手引き(正しいのはこちらのURL 122頁→) http://www.ce.gunma-u.ac.jp/kamaishi_tool/doc/manual_full.pdf 海に向かって死んでしまう。山に向かって生き延びる(171頁)。 2015/05/18
メタボン
18
☆☆☆☆ 家族の絆があるゆえに、「きっと逃げているはず」と信じて、避難所にまっすぐ向かうことが出来る。「津波てんでんこ」は教訓から生まれた津波に対する正しい対処法。釜石の防災教育の意識の高さが、何人もの命を救った。それに比べて石巻の大川小学校の判断の遅れが悲劇につながったことは本当に残念でならない。正常性バイアスを断ち切り、自分の命を守る行動を真っ先に取ることが大事だということを学んだ。2015/09/11