内容説明
わが足はかくこそ立てれ重力のあらむかぎりを私しつつ(『一刹那』)〓外短歌の魅力は、世界と自分をユーモアたっぷりに総括してみせるところにある。後の「我百首」や「奈良五十首」でくきやかに示されるところだが、この歌などはその嚆矢と見える。その由来は、ひとつには彼のもって生まれた性格、いまひとつには西洋体験だろう。地球が自分を引っ張る重力を受けながら、私はこの二本の足で立っている。あたかも地球の力を全部自分のものとしたかのように。強い二句切れを利かせつつ、知識人が世界を楽しむやりかたを示した歌だ。
目次
森〓外の百首
解説 テエベス百門の抒情
著者等紹介
坂井修一[サカイシュウイチ]
1958年愛媛県松山市生まれ。1986年東京大学大学院修了。工学博士。十九歳で「かりん」入会と同時に作歌開始。歌集『ラビュリントスの日々』(現代歌人協会賞)、『ジャックの種子』(寺山修司短歌賞)、『アメリカ』(若山牧水賞)、『望楼の春』(迢空賞)、『亀のピカソ』(小野市詩歌文学賞)など。評論集『斎藤茂吉から塚本邦雄へ』(日本歌人クラブ評論賞)など。現在、「かりん」編集人。現代歌人協会副理事長。日本文藝家協会理事。東京大学教授(情報理工学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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