出版社内容情報
◆第二歌集
悲しいと悲しいことしか見えなくてマトリョーシカと私の涙
北山さんの涙は短…◆第二歌集
悲しいと悲しいことしか見えなくてマトリョーシカと私の涙
北山さんの涙は短歌という作品となって残り、同じように苦しむ誰かの気持ちに寄り添うかもしれない。それだけでとても意味のあることだと思う。
(解説より・前田康子)
◆自選五首
一斉に飛び立つ鳥に促され大事なことをひとつ決めたい
言い訳も受け入れますと言うようにポストの口が開いています
映画ならここであなたが待ってると思って来てみるバス停留所
人はなぜ他人のことを言いたがる深く深く土掘り下げてゆく
焼きたてのパンの香りで目覚めればこういう朝があったかと思う
北山順子[キタヤマジュンコ]
著・文・その他
内容説明
第二歌集。
目次
原点
あと四十分
ニーチェが言うには
月とシナモンティー
パステルの森
「楽しめばよい」
四月十日
軽やかに行く
黙ったまんま
moonless night〔ほか〕
著者等紹介
北山順子[キタヤマジュンコ]
1975年和歌山県生まれ。2008年第一歌集『三十一音と三十一歳』(日本文学館)刊行。2009年塔短歌会入会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太田青磁
13
ああこんな雨がほんまに降るんやねミストのように目に降りかかる・孤独とは案外いいものかもしれずおいしいものは一人で食べる・「消えたい」も一つの欲であることに気づいてしまう氷点下の朝・父を二度失うような夢を見る水平線に月は浮かんで・日記にはいいことばかり書いていた角ばった祖母の文字をまた読む・充ち足りた人には分からないものをポストと私が共有している・どんなふうに眠りに落ちてゆくのだろう私の寝顔を私は知らない・はみ出したほうが綺麗と言うときの姉の声色ホルンのごとし2018/12/24
yumicomachi
2
2018年12月刊行の第二歌集。人生に真正面から取り組んだ率直な短歌が多い。〈「消えたい」も一つの欲であることに気づいてしまう氷点下の朝〉等。優しさを感じさせるのは、〈痛いほど分かると君が言うからに分かる心を包帯で巻く〉〈髪に触れ肩に触れ葉は地に落ちる優しい人がなんで負けるの〉等。他、〈豪快に笑って見せているけれど島崎和歌子は泣きたいのかも〉〈どんなふうに眠りに落ちてゆくのだろう私の寝顔を私は知らない〉等に惹かれた。タイトルは〈悲しいと悲しいことしか見えなくてマトリョーシカと私の涙〉から。解説・前田康子。2021/01/30
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