著者等紹介
小池光[コイケヒカル]
1947年宮城県生まれ。1972年東北大学理学部大学院修了。学生時代より短歌をはじめ、歌集に『バルサの翼』(現代歌人協会賞)、『草の庭』(寺山修司短歌賞)、『静物』(芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『滴滴集』(斎藤茂吉短歌文学賞)、『時のめぐりに』(迢空賞)、『山鳩集』(小野市詩歌文学賞)など。評論エッセイ集に『茂吉を読む―五十代五歌集』(前川佐美雄賞)、『うたの動物記』(日本エッセイスト・クラブ賞)など。平成25年度紫綬褒章受章。仙台文学館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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深青
23
実は石川啄木の短歌をきちんと読んだのは初めてでした。その情景を頭の中に描きやすい短歌だなぁと読みながら思いました。名前ばかり知っていて、その人の作品に触れてない人が多いなと反省です。これから色々な作品をもっと読んでいければと思いました。2016/12/15
かふ
15
この「~の百首」シリーズ他に寺山修司と斎藤茂吉と森鴎外があった。短歌だけではなく俳句のシリーズもある。これは特定の歌人について知りたいと思うときは便利な本。見開きで右に啄木の短歌、左に解説(それほど詳しくないが一首解説なので十分である)。 啄木の最後に活字になった歌の哀しきユーモア。これ以降は寝たきり生活で亡くなっていく。「最後の一葉」ではなく「最後の一声」が牛の鳴き真似だったら、それを病室の外で妻子が聞いているとか。可笑しい悲しさ。この線だなのだ、啄木のセンチメンタルさって。2022/12/10
サラダボウル
15
「一握の砂」が読みたいなと思ったら、まさかの図書館貸出中。のでこちら。解説は、短歌が私の心にもっと深く染み込んでから読みたいなと、あまり読まずに‥、と思いながらチラチラと。 いたく錆びしピストル出でぬ 砂山の 砂を指もて掘りしありしに/ かにかくに渋民村は恋しかり おもひでの山おもひでの川/ 潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇(はまなす)よ 今年も咲けるや/ うぬ惚るる友に相槌うちてゐぬ 施与をするごとき心に/ 何となく汽車に乗りたく思ひしのみ 汽車を下りしに ゆくところなし 2020/12/26
太田青磁
14
何となく汽車に乗りたく思ひしのみ/汽車を下りしに/ゆくところなし・友がみなわれよりえらく見ゆる日よ/花を買ひ来て/妻としたしむ・不来方のお城のあとの草に臥て/空に吸はれし/十五の心・やはらかに柳あをめる/北上の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに・/朝朝の/うがひの料の水薬の/壜がつめたき秋となりにけり・夜おそく/つとめ先より帰り来て/今死にしてふ児をかき抱く・呼吸すれば、/胸の中にて鳴る音あり。/ 凩よりもさびしきその音!・家を出て五町ばかりは/用のある人のごとくに/歩いてみたれどーー2016/05/21
garyou
1
句の後に一々空白を入れるとか一々改行を入れるとか、そうした歌や句が世の中にたくさんあるのだが、これくらい意識して改行を入れていればそんなに気にならない、というか、ちゃんと改行を改行として意識して読むのに、と思った。本棚を見ていてパッと目についたので読んでみた。入門書としてありがたい気がした。2023/06/15