内容説明
演劇における見世物の復権、幻想演劇による時代の告発、民俗やサーカス、血の忌みという神話やフリークス。「きらめく闇の宇宙」に解放される劇的世界の成果。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
5
寺山修司が作り出した演劇の登場人物は、演じていることにとても自覚的だ。役を演じるという自我がその役自身に課せられている。それは、演劇の持つ切実さを如実に物語っている。またその結果、観客にも観客という呑気な役以上の覚悟を強いていく。『盲人書簡』の真っ暗闇の中での見えない演劇、そして『奴婢訓』においては、外からの観察者である観客を、劇の内側へと引きずり込んでいく。寺山の劇は、観るのではなく体験するものだと言わんばかりだ。その前衛性は、活字だけで表現された戯曲を読むだけでも、充分に感じ取ることができる。2010/05/02
サニー
4
犬神を勧められて、図書館で借りた本。戯曲なので物語を読んでいると言うより、台本。 今では使えなくなった言葉がたくさん出てきて、懐かしい?なぁと思いながら読みました。 怖いと感じるお話しばかりでした。2024/01/21
咲
3
寺山修司という現象に、なぜ私は、こんなにも惹かれるのだろうか。そもそもは、釧路の北海岸で弓子を探す「白夜」を読みたくて、思い切って買った。それから、ことあるごとに、繰り返し少しずつ読んできた。幼少期から林檎が嫌いだが実家の母が林檎をくれた年末、「アダムとイヴ、私の犯罪学」を読んだ。三島由紀夫の文学館で美輪明宏の「黒蜥蜴」のポスターを見た帰り道、「毛皮のマリー」を読んだ。引っ越し先で偶々、天井桟敷という酒場を見つけ、隅っこのカウンターで「観客席」を読んだ。宮沢賢治を読んで背徳感を抱きつつ「奴婢訓」を読んだ。2025/02/24
たろう
0
書かれた順に読むと、だんだんに、劇そのものを解体し、物語の筋を追うのではなく、一回生の体験を重視したものになっていくようです。舞台上で即興的・偶発的な「出合い」を観客に起こさせることを目当てにしたものもあり、「上演後の形骸」であるところの台本を読んだだけでは不十分のよう。「身毒丸」を先日見に行ったけど、ほかのも上演されないかな。2015/02/16
紫花
0
美輪さんから出発して流れ着いた気がする…「毛皮のマリー」「身毒丸」「青ひげ公の城」が好きだ。2014/05/25