内容説明
本書は、従来の社会福祉論を弁証法的否定によって乗り越えた学術書である。そして従来の社会福祉論は、全く資本主義社会の生産様式との無関連で論述されている。しかも「なぜ、いかにして社会福祉が現に今あるように成立しているのか」を根底から把握していない。現在の社会福祉の変革の可能性と条件を明らかにしていない。そして福祉手段(社会福祉の法制度等)の側に視点を置き、無法則に論じたものであった。本書は、資本主義社会の生産様式との連関の下で、「なぜ、いかにして社会福祉が現に今あるように成立しているのか」を根底から把握する。しかも現在の社会福祉の変革の可能性と条件を明らかにする。そして福祉手段と福祉目的(福祉利用者の多様な個人及び共同の潜在能力(抽象的人間生活力=生活力・抽象的人間労働力=労働力)の維持・再生産・発達・発揮の成就)の統一的視点の下に、従来の社会福祉論を合法則的に克服しようとするものである。それはまた、福祉利用者の多様な個人及び共同の潜在能力に適合した公的責任・具体的権利・社会福祉の必要充足の原理に基づいた新しい社会福祉の実現である。さらに完全かつ構造的な社会福祉の実現の為にも論理必然的(合法則的)にアソシエーション(共産共生)社会における新しい社会福祉も展望している。日本で初めての独創的及び科学(法則的・体系的知識)的な社会福祉学の学術書である。
目次
第1部 序章・科学的福祉世界観・社会福祉学の視点・生活問題・社会科学的方法論・社会福祉の定義(従来の社会福祉論の到達点と社会福祉学の課題;社会福祉学の科学的福祉世界観;社会福祉学の理論的認識と実践的認識の統一;社会科学的視点の生活問題;社会福祉の社会的・公的責任と財源のあり方;社会福祉学の社会科学的方法論;社会福祉とは何か)
第2部 社会福祉の各論的基本問題(基本的矛盾)の検討(社会福祉の諸矛盾と課題)
第3部 福祉利用者の使用価値を高めていく社会福祉の検討(福祉利用者の開発(発達)と社会福祉
社会福祉労働論
福祉利用者の福祉の成就を支援していく福祉専門職論
社会福祉と自立(自律)
福祉利用者の主体性
福祉の文化)
著者等紹介
竹原健二[タケハラケンジ]
福祉学者。1950年鹿児島県生まれ。専門分野、社会福祉学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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