河出文庫<br> 中世幻想世界への招待

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河出文庫
中世幻想世界への招待

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  • サイズ 文庫判/ページ数 416p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309411729
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0122

内容説明

奇想天外、荒唐無稽な伝説や物語に満ちた中世ヨーロッパの世界。なぜ当時の人々は、これらの文学に熱狂し、ときには常軌を逸した行動をとったのか。狼男、妖精、若返りの泉、聖人伝説、煉獄、地上の楽園…中世人たちの想像力に圧倒されつつ、背景となる史実を読み解きながら、その豊穣なイメージの世界への扉を開く。

目次

序章 ヨーロッパ中世の想像界
第1章 狼男伝説
第2章 聖体の奇蹟
第3章 不思議の泉
第4章 他者の幻像
第5章 彼岸への旅
終章 イメージの歴史的変遷

著者等紹介

池上俊一[イケガミシュンイチ]
1956年生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学大学院人文科学研究科博士課程西洋史学専攻中退。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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HANA

27
人狼伝説や聖体、あの世への旅や不思議な泉、果てはユダヤ人問題と中世における様々な幻想を考察したもの。単に事例の羅列ではなく、それそのものがどういうように受容されまた変化していったかが詳しく解説されている。そういう意味でこれは正しく著者の言うように歴史学なのだな。それにしても中世ヨーロッパにキリスト教が如何に影響を与えていることか。個人的にはキリスト教の隠々滅々とした世界観より、ケルトのようなおおらかな他界観の方が好きなのだけど。ヨーロッパの中世に少しでも興味のある人には是非とも読んで欲しい一冊だった。2012/11/22

マウリツィウス

23
【中世《幻想》世界】古典主義文明史/新約主義文明史における解読機能を提唱していく。よって答を求めると「中世幻想史実」を再解釈、シェイクスピア以降のロマンス批判は成り立たないのかもしれない。新約主義/古典主義を渡り歩いたアイルランド文明史論を展開、確かにプラハの刻む遺産をカフカは奏でていく。古典ギリシャ語の史論を繙く、「ホメロス」/「ジョイス」の再統治を予定可能だ。よって文明史と新約史は矛盾しない。ウンベルト・エーコは確かに『薔薇の名前』においてそれを実現した。つまりエーコの構成した世界の真意=史実を提唱。2014/02/19

Saiid al-Halawi

12
狼男、聖体拝領の奇跡、若返りの泉、プレスタージョン、らい病人とユダヤの陰謀、煉獄と地上の楽園。こういうのを史料を眺めながら当時の時代背景と同時代人の心性について考えてみるという内容になってて、思ったよりファンタジーな感じではない。どっちかっていうと歴史。借り物。2012/11/29

シャル

7
いわゆる剣と魔法の『ファンタジー』ではなく、中世ヨーロッパで流布していた様々な幻想めいた現実の想像、たとえば人狼伝説や聖体の奇跡、不思議な泉、煉獄などがどのようにして人々の現実として広まっていったのかを紐解く一冊。当時の人々の想像していたモノを、社会や歴史の流れ、残っている物語や逸話から想像し、そこがどのような世界だったのかを考えていく。とにかくというかやはりというか、当時の世界においてキリスト教の果たした役割は宗教の枠を越え、情報の流れから倫理観、社会基盤にまで強い影響力を持っていた事を実感させられる。2012/09/06

二笑亭

5
狼男や妖精、煉獄などのイメージの変遷を追いながら、中世ヨーロッパの社会=キリスト教世界の構造を探っていく。元の書名が『狼男伝説』とのことで読み始めた。お目当ての狼男は最初の章で終わるが、プレスター・ジョンや若返りの泉など興味深いテーマが続く。以前、吸血鬼に関する書籍を読んだ際にも思ったが、想像力はやはりある程度どの国でも共通するものなのだなと。「彼岸への旅」で見た浄罪の責苦の様は日本の地獄と似ていた。キリスト教による異教の取り込みは本邦でいえば本地垂迹説にあたるのか。2022/03/20

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