内容説明
人間の自由と権利を権力によって抑圧した治安維持法。その時代、子どもの真実をもとめて教育の仕事に向かった一人の教師・村山俊太郎は2度の弾圧を受けることになる。『明けない夜はない』(村山ひで)のもう一つの歴史が解き明かされる。
目次
序章 村山俊太郎研究の魅力
1章 「童心」への開眼から生活者としての子どもへ
2章 非合法教育労働運動への参加と弾圧
3章 北方性教育の理論構築とリアリズム論
4章 軍事色強まる学校で子どもたちと学び・綴る―教師の良心と苦悶の戦い(三七年~四〇年)
5章 俊太郎、2度目の検挙と獄中の苦悩
6章 戦後、激動の時代を生きぬいた俊太郎
著者等紹介
村山士郎[ムラヤマシロウ]
1944年山形県に生まれる。1977年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、教育学博士。大東文化大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
28
戦前から戦後にかけて山形県で生活綴方実践などで活躍した一人の教師の思想史研究です。とても重厚な研究です。自らの実践を追求する中で治安維持法で検挙され、戦後もGHQの弾圧により体を壊し43歳の若さで結核で亡くなる村山の実践は、子どもの生活に向き合い子どもが生活の主人公となれるように綴方実践を中心に取り組まれてきました。その歴史的意義は高いものがあると思いました。著者は村山の実の子ですが、その研究的視点は客観性を持ち、投獄される中で終戦間近の思想的に揺れる心情もしっかりと捉えられています。学び多い一冊でした。2018/04/30