内容説明
道州制とは、現行の四七都道府県を一〇前後の道州に再編成し、国の政策を遂行する統治機構を、中央政府・地方政府(道州)・基礎自治体(市町村)という構造に組み替えること。だが一口に統治機構の構造を組み替えると言っても、組み替えることによって、どのような姿になるのか。とくに今回構想されている道州制は、いわば統治機構の土台となる、国土の構造改革が先行しているように見受けられるので、統治機構の組み替えの内実と、土台となる国土の構造改革の現実的先導者が誰であるのか、その両者を見極めることに、特別の意味がある。
目次
第1章 道州制への再編の核をどう捉えるか(地方分権改革から道州制へ;トヨタとはどういう企業か;現代多国籍企業の存在状況)
第2章 トヨタを主軸にした国土の構造改革と道州制への展開(矢継ぎ早に進む海外生産拠点の建設と国内対応との乖離;中部地区に見る国土の構造改革と行政側の対応;九州、東北・北海道から東アジアを睨む道州制の布陣)
第3章 道州制の正体が見えてきた(州内で蓄積されてきた貴重な資源を、誰がどのように利活用するのか;中央政府・州政府・基礎自治体の関係はどうなるか;東アジア諸国との関係はどのように構築されるか)
第4章 日本経団連の主張する「道州制の導入は究極の構造改革」とは(グローバル企業の生き残りのために生存を脅かされる住民のくらし;州政府間の格差の拡大とそのことの持つ危うさ;個人消費市場の縮小による価値生産・実現の海外依存の増大)
著者等紹介
鈴木文熹[スズキアヤキ]
1927年愛知県知立市に生まれる。1950年大谷大学卒業。以後、豊橋商業高校教諭、肥料協会新聞部、農民経済研究所、労農問題研究所を経て、1977年高知県立短期大学教授。1993年定年退職。1994年長野県下伊那郡飯田市に南信州地域問題研究所設立、所長就任。2003年退任。現在、高知短期大学名誉教授、南信州地域問題研究所顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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