内容説明
品川は、社会の進歩をめざしたさまざまな運動が根づいている土地柄である。戦前のプロレタリア文学の頂点の一つともいえる宮本百合子の『乳房』、小林多喜二の『党生活者』の舞台を提供した。『乳房』の舞台となった荏原無産者託児所(『乳房』では蛇窪託児所)は、無産者の手による全国ではじめての託児所であり、ここと深いかかわりのある大崎無産者診療所も、これまた無産者の手による全国初の診療所である。戦後は、新たなたたかいのなかで、うたごえ運動の中心的歌詩となった「民族独立行動隊の歌」と「原爆を許すまじ」を生み出す。六〇年の安保闘争を経て、七〇年代初頭の革新上げ潮の時代のなかで準公選制という手法をあみだし、革新区政の実現と地方自治体法そのものの改正への転換を実現する役割をはたした。本書は、戦前・戦中・戦後に品川区民が直面した苦難と、これを打開する社会進歩のとりくみと、これを支えた人々の姿に光を当てようとするものである。
目次
1章 戦前編(急激に変貌した品川の「近代化」と労働者・住民とのたたかい;小説『党生活者』と藤倉工業;大崎「無産者診療所」 ほか)
2章 戦中編(戦中・戦時下の苦難;荏原大空襲の真相)
3章 戦後編(戦前の無産者運動がめざしたものが開花する時代へ;品川の闘いと文化運動が生み出した“たたかいの歌”;区長準公選と革新区政の実現)
資料編
著者等紹介
川上允[カワカミマコト]
1938年生まれ。1956年東京通信工業(ソニーの前身)入社。1975年同社退社。この間、ソニー労働組合青年婦人部長・中央執行委員・書記長など歴任。1975~2001年日本共産党専従。現在、消費税をなくす東京の会事務局長、ソニー労組品川支部OB・OG会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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