内容説明
唱える呪文をどう伝える?ウィーズリーしちゃうって何。衣を見事に着こなすとは――。巧みな言い回しと絶妙なアイロニー。物語の魅力を支える豊かな表現を読み解く。
目次
第1章 ハリーを何て呼ぼうか―呼称を使い分ける
第2章 唱える呪文の伝え方―描写のきめ細かさを変える
第3章 「手伝おうか」をどう断る―円滑な会話の運び方
第4章 「衣を見事に着こなす」とは―4種類の比喩
第5章 「感謝しますわ、ロン!」の真意―アイロニーの魅力
第6章 スネイプは好きなの嫌いなの?―メタ言語否定とその背景
著者等紹介
吉村あき子[ヨシムラアキコ]
奈良女子大学研究院人文科学系教授。専門は言語学(語用論)、主な著書に『否定極性現象』(単著、英宝社、1999年、第33回市河賞)などがある
須賀あゆみ[スガアユミ]
奈良女子大学研究院人文科学系教授。専門は言語学(語用論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shikada
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ハリー・ポッターの文章やセリフを例に、呼称や比喩、アイロニー、否定といった「ことば」のおもしろさに迫る1冊。例が具体的でとてもわかりやすい。ハーマイオニーが辛辣に「ご支援感謝しますわ、ロン」と言うのがなぜアイロニーになるのか、「スネイプはハリーを嫌っているのではなかった――憎んでいるのだった」から見る日英の否定の違い(日本語は文末で否定する、英語は頭で否定する)など、一見ありふれたことばの裏に潜むことばの構造と隠れた意図がとても平易に解説されていて非常に楽しく読めた。2025/06/01