内容説明
左翼の両親と右寄り読者の間で葛藤し、「日本国憲法LOVE」だからこそ…国防のために普遍的価値を守る これからの自衛隊の在り方を模索する。
目次
第一章 問題提起 ウクライナ戦争から考える日本の安全保障(安全保障をめぐる環境は大きく変化している;ウクライナ戦争から考える安全保障の条件;平和一辺倒と軍事一辺倒の狭間で)
第二章 対話1 安全保障をめぐる現状をどのように考えるか(西側の冷戦の戦後処理には三つの問題があった;日本を等身大のものとして捉える;「待合室」をみんなで作っていく;プーチンが現れたらウクライナ戦争に変化が出るか;戦争で妥協が実現する可能性、北朝鮮用とされる兵器の問題点)
第三章 対話2 私たちは今後どうすればいいか、何ができるか(「専守防衛」をどう考えたらいいか;力が幅を利かせる世界で大国でない国がなすべきこと;世論と運動で戦争を止める可能性はあるか;侵略を阻止するための日本の貢献はどうあるべきか;核抑止は未来永劫必要なものなのか)
著者等紹介
小泉悠[コイズミユウ]
1982年生まれ。東京大学先端科学技術研究センター准教授。早稲田大学大学院修士課程修了。専門はロシアの安全保障や軍事政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
37
イズムィコさんが9条の会と話してみようと言う講演を元にした本。講演録なので例の喋りだと話が乱れるのを著者修正。小冊子と言える薄さで読みやすさは普段の倍。とは言え呼んだ方も呼ばれた方も意見が違うなら何がどう違うかチャンと考えようってスタンスなので非常に安心しつつ膝を打ちつつ読み終えられるので、このタブー化しちゃってる憲法をチャンと考えるために一度お読みになるといいかな?2025/02/28
楽
19
25年2月。表紙の笑顔は違和感ある(笑)。メドジェーベフでなくメドベージェフだよね(54頁)■中国や北朝鮮の脅威はあっても、現実には露によるウクライナ侵攻がなければここまで安全保障に関心は持たなかったのではなかろうか■兵庫県弁護士九条の会などが主催し小泉悠氏を招いて開いた講演対話集会がベース■右も左も相手側の言葉が遠すぎる、お互い相手側がそう主張するに至った思考の筋道を理解してほしい、今よりももっと丁寧に語ってほしい、根っこは案外近くてゴールは合意できるかもしれない、というのは同感。2025/03/23
小鈴
13
本屋の書評コーナーで目にとまり購入。兵庫県の九条の会に呼ばれて参加し、そのときの講演と質問をまとめた本。小泉悠が九条の会で講演!?という時点で面白いわけですが、最近の世界情勢を踏まえたうえで、安全保障や自衛隊についてどのように考えるのかということを口語調でまとめているので、さくっと知りたい人向けの本です。いろいろと勉強になりました。2025/04/19
kenitirokikuti
12
図書館にて。兵庫県九条の心ネットワークと兵庫県弁護士九条の会が主催した小泉悠講演対話集会(2024.04.20)をまとめたもの。小泉氏の両親も九条の会の会員で、大学時代にベトナム反戦運動した団塊の世代だそうな。比較的よそ行きな感じのイズムィコ氏。本書の内容とはあまり関係ないが、帯のデザインが最近の日本共産党ポスターなデザインで、個人的にはキモいというか萎えるというか。「日本国憲法LOVE」だからこそ……、というフレーズを真顔で掲げられるとめまいがする。斜に構えているのは俺のほうだけどもサ2025/03/29
メロン
7
ずっとこういう本を待っていた。身内で現下の安全保障政策を語らうと核武装せざるを得ないとか、はたまた中国に従属するか絶滅戦争を戦わなくてはいけないのではないか?でも、それって俺らが好きな「日本」じゃないじゃない。安心しておいしいものが食べれて、心豊かに暮らせるそれとは違うじゃない。一方で、いくら虐殺されても無抵抗主義を貫くとか、自衛隊がなくなれば戦争にならないそれもウクライナ戦争を眼前にして、ブチャの被害者が自分の両親だったら?娘や愛する人が強姦されてもそう言えるのか?それも私の好きな日本じゃないじゃない。2025/04/27