内容説明
岩瀬成子の世界へ。親と子の葛藤と繋がりについて子どもの目線で描くエッセイ、ちょっとへんてこりんな愛すべき人たちが登場する連作短編、そして、生まれ育った岩国の街を歩いて撮った写真を収録。
目次
エッセイ まだらな毎日(祭;お客さん;玄関;ハワイの服;オーバーコート ほか)
連作短編 釘乃の穴(銀一おじさんのテーブル;錫ちゃんのゆっくりジョギング;錐子おばさんの毛糸;おばあさんの兎山;小鉄の白;おじいさんの金色ソックス)
著者等紹介
岩瀬成子[イワセジョウコ]
1950年、山口県生まれ。『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞と産経児童出版文化賞、『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』の2作で路傍の石文学賞、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞。国際アンデルセン賞ノミネートにより、第8回JBBY賞(作家の部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
22
子育て真っ最中の頃、司書さんに薦められて岩瀬さんの本を片っ端から読んだ。子どもの気持ちにすんなり入っていける人だな、と思っていた。前半のエッセイはお母さんとのやりとりが結構辛辣で、引きずってたのかな、と。後半はなんだかよくわからなくて端折ってしまった。2024/08/07
雪丸 風人
9
幼少期からの暮らしを語るエッセイと連作短編の二本立て。短編目当てで手にしましたが、エッセイの面白さにも圧倒されました。何より観察眼が凄い!物語の名手はエッセイもお手のモノなのですね。とくに印象的だったのは、母の抑圧が長く刺さり続けた岩瀬先生の生い立ち。自分は無価値と思い詰める心境や、静かに抗うふるまいに、共感しっぱなしでした。短編で描かれるのはヘンテコ家族の日常。ただでさえ個性派ぞろいの一族に、輪をかけてとんがったニューフェイスが登場する流れには、ガツンと引き込まれましたよ。(対象年齢は13歳以上かな?)2024/08/08
ぱせり
6
体験したことは違うけれど、私にもこんな気持ちは覚えがあると、忘れかけていた事が、心の表面に浮かび上がってくるような感じだった。岩瀬成子さんの作品の中の少年少女たちの微妙な気持ちは、手にとるようにリアルだ。それは、こんなふうに、鮮明な記憶があるからだろうか。2024/06/23
ガラスのバラ
2
初めて読んだ作家さん。エッセイと短編と両方が掲載の変わった構成だが、どちらも同じ雰囲気で区別が付かない感じがした。これと言ったイベントでもない日常生活の子供の頃の記憶が鮮明なのには驚く。本当にありふれた日常を切り取っただけなのだが、何となく嫌いでは無い作風。「錐子おばさんの毛糸」のような生き方をしてみたい。2024/11/02
chuji
1
久喜市立中央図書館の本。2024年4月初版。書き下ろし(多分)。11篇のエッセイ「まだらな毎日」と6編の連作短編「釘乃の穴」+6葉の写真。岩瀬さんは児童文学者のようで、初読でした。エッセイは小学生の頃を書いているが、オイラの一世代近く年上なのによく覚えているなぁ。読了後ホッコリしました。2024/06/02