内容説明
「国家」とは何だろうか。国家を抜きにして成り立たない現代において、この問いへの回答は不可欠である。固有の領土のない国家、元首が日替わりで交代する国家、儀式以外の機能を備えていない国家―。17世紀以前のヨーロッパを対象に、現在の常識からかけ離れた国家のさまざまな姿を描くことで、この問いに迫る。
目次
序章 ビサンツ帝国という不思議な国(「神の代理人」の栄光と悲惨;固有の領土はない ほか)
第1章 都市国家と世界帝国―古代国家のかたち(アテネ―古代ギリシアの都市国家;アケメネス朝ペルシア帝国―最初の世界帝国 ほか)
第2章 都市国家から世界帝国へ―ローマ国家史(共和政ローマ―領土の拡大と国家構造の変化;ローマ帝国の支配体制―ユダヤ州の場合 ほか)
第3章 幻の世界帝国と緩やかな封建国家―中世国家のかたち(神聖ローマ帝国―神聖?ローマ?帝国?;カペー朝フランス王国―封建国家の展開 ほか)
終章 国民国家への道―マキアヴェッリからナポレオンへ(ルネサンス―国家観の変容;マキアヴェッリと「国家 stato」 ほか)
著者等紹介
井上浩一[イノウエコウイチ]
大阪市立大学名誉教授、元佛教大学歴史学部教授。専門はビザンツ帝国史。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
17
30頁。アテネの民会の特徴は同じように直接民主制をとっていた古代ゲルマン人の民会と比較すると明らかになる。ゲルマン人も重要なことは民会で決議していた。しかしながら民会を招集しても、なかなか部族民が集まらず、開催するまで何日もかかった。これに対してアテネでは定まった日時に多くの市民が集まって、速やかに審議が行われた。またアテネの民会ではすべての市民に発言権があり、力や脅しではなく、議論や説得によって物事が決められた。ゲルマン人は武装して民会に出席し、議決は武器を鳴らすこと行われた。力づくで物事を決めていた。2024/07/20
ほうすう
11
第二巻では一七世紀以前の主にヨーロッパ圏をテーマなのだろうけどほぼ古代ギリシャ・古代ローマに多くのページが費やされ、神聖ローマ帝国・フランク王国・英仏百年戦争までが取り上げられている。もうちょっと時代を下って欲しかった気もする。本書では第一巻とは対照的で人物や国家に重きを置かれ都市国家や世界帝国などどのように国家というものが成り立ち変遷したかをとらえようとしている。2025/04/24
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