内容説明
ヒットを打って処分!?教科化で議論を呼んだ道徳の定番教材。原作はどのように書き改められたのか。変貌を繰り返す物語、その歴史と深層に迫る。
目次
第1章 星野君はどんな少年だったのか(吉田甲子太郎の少年小説集;銃後の「おさえつけられても、伸びあがってゆこうとする、少年」 ほか)
第2章 文学と教育があわさるとき(文学と教育があわさるとき―「星野君の二塁打」をめぐって;うつむいたままの星野君―道徳副読本と道徳教科書 ほか)
第3章 道徳の再構築に向けて(若者は犠牲を求められる;「地図は現地ではない」 ほか)
第4章 開かれた物語としての「星野君の二塁打」(「星野君の二塁打」の論じられ方;坂上康博『にっぽん野球の系譜学』を読む ほか)
資料 「星野君の二塁打」(初出版)全文
著者等紹介
功刀俊雄[クヌギトシオ]
奈良女子大学研究院人文科学系教授。専門は身体文化史
〓澤有吾[ヤナギサワユウゴ]
奈良女子大学研究院人文科学系教授。専門は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安東奈津
1
★★★☆2021/07/12
towerofthesun
1
アメフト危険タックル事件以来、監督への盲従の是非を論じる視点の中でにわかにリバイバルしてきた道徳教科書の“問題作”「星野君の二塁打」。小学校の道徳で教材となった際、「星野君は悪くない」派として論陣を張った覚えがある身としては、それは「外在的読み方」に過ぎないという本書第4章の内容が興味深かった。別府監督と対等な一個人としての星野君の気持ちを考える「内在的読み方」ができていなかったのかも。2021/06/14
たろーたん
0
監督の指示に従わず、二塁打を出した少年に、指示に反した罰として甲子園の予選に出させないという「何がしたんだ?」と思わずにはいられない気持ち悪さマックスの話。四章で、この話の擁護的な読み方を紹介されたけど、私は受け入れ難かった。独裁ではなく監督と星野君の人間としての関係性などを話していたが、私には無理やり擁護的に読んでるようにして見えなかった。多くの論者が、この話を民主主義やルールを守ることの話として読んでいたが、個人的にはスポーツ哲学として考えた方が面白いと思う。2021/08/12