内容説明
農場の仕事、オリーブの収穫、床屋、漁師、屋台、路上販売、俳優、映画監督、出稼ぎ労働者、フェアトレード製品の生産者…などなど。私たちの生活を支える毎日の仕事。紛争、封鎖、占領、抑圧という辛く悲しい現実のなかにも、パレスチナの人びとのいとなみを支える仕事があり、働く人びとには笑顔があります。「仕事と尊厳」を考えるパレスチナの本。
目次
パレスチナのお仕事
パレスチナ地域の人たちとの仕事(ガリラヤのシンディアナ;ナーブルス石けん工場;イドナ村女性組合)
パレスチナの歴史
Q&A パレスチナの「仕事」と「背景」のこと
著者等紹介
高橋美香[タカハシミカ]
写真家。1974年広島県府中市生まれ。大学在学中より世界の国ぐにを歩き、その地に生きる人びとの「いとなみ」をテーマに撮影、作品を発表
皆川万葉[ミナガワマヨ]
合同会社パレスチナ・オリーブ代表。1973年新潟市生まれ。東北大学国際文化研究科国際地域文化論専攻イスラム圏研究講座博士課程前期修了。1998年よりパレスチナ地域の商品をフェアトレードで輸入、全国に販売。新潟、宮城暮らしを経て、震災・原発事故後に山梨に転居(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベル@bell-zou
27
あらゆる制約を受け続けながら日々を営むパレスチナの人々。その生業に向き合う表情は羨ましいほどに誇り高く。この笑顔の源は何なのだろうと思ったら涙が出ていた。高橋氏がヨルダン川西岸地区に働く人びとを撮影した2019年初版の著書。共著・皆川氏による後半のテキストも興味深い。が、パレスチナ〜イスラエルの歴史は何度学んでも難解で複雑だ。高橋美香写真展『パレスチナで猫に出会う』開催ブックカフェにて購入。難民キャンプの猫たちの表情と視線が心に刺さった。人間の愚かさ罪深さを思う。ごめんよ…2025/02/23
Nobuko Hashimoto
21
パレスチナの働く人たちの姿が収められている。表紙の飴売りのおじさんの写真なんて実に魅力的。ところが、イスラエルとの関係や、パレスチナの置かれた状況を解説した部分になると、パレスチナの人々の直面する困難にページをめくるペースが遅くなっていったのでした… 2019/07/25
たいけい
14
2024年2月15日(木)読了。五読。読んでいて、イスラエル・パレスチナ自治政府・パレスチナ人の関係が、アメリカ・日本政府・日本人と重なる感じがしてきた。しかもパレスチナ人よりも日本人はきちんと物事を見ていないように思う。それは働く・生きるということに身が入っていないことに由来するのだと思う。時と場合によっては死に直面する、あるいは仕事を失う。だからこそ真剣に働き、その喜びを心底感じているのだと思う。苦しい状況にも関わらず様々な営みに取り組むパレスチナの人々の表情が豊かなのはそういうことにあるのだと思う。2024/02/15
たいけい
14
2024年1月31日(水)読了。四読。世界の国々で生きる人々の「いとなみ」を主題に撮影・発表している高橋美香さんと、パレスチナ地域の商品をフェアトレードで輸入・販売している皆川万葉さんの共著。二人で「はじめに」と「おわりに」を書いている。どちらがどちらを書いているかは本書を手にして確かめてほしい。「パレスチナのお仕事」を高橋さんが書き、「パレスチナ地域の人たちとの仕事」を皆川さんが書いている。「Q&Aパレスチナの「仕事」と「背景」のこと」は各々で答えている。仕事をする・生きる人々への視線が優しく温かい本。2024/01/31
たいけい
13
2024年2月23日(金)読了。七読。パレスチナで真摯に働く人々の姿を伝え、日本の読者に生きることを問いかけているように思われた。高橋美香さんはカラー写真と短い文で、どちらかと言えば外から眺める視点で読者に紹介している。皆川万葉さんは長い文章と小さな白黒の写真で、ビジネス・パートナーの視点から、パレスチナの人々がどういう思いでいるかを語っている。パレスチナの歴史については見開き2頁で簡潔にまとめている。Q&Aは二人各々が答えているものもあればどちらか一人だけのものもある。国は違っても生きることは同じだ。2024/02/23