出版社内容情報
若松 英輔[ワカマツ エイスケ]
著・文・その他
内容説明
通勤途上の橋の上に住む初老の男性が亡くなった。そこにはだれとはなしに、大きな花が飾られ、さまざまな捧げものが次々と置かれていった…。日常のなかで出会う「言葉なき人々」に思いを寄せる、25のエッセイと詩。
目次
すごい人
言葉の燈火
伴走者
独語の効用
「私」への手紙
抱擁する詩人
燃える言葉
賢者の生涯
音楽の慰め
それぞれのかなしみ
かなしみのちから
ゆるしのちから
カズオ・イシグロと文学の使命
人類の歴史
臨在する者
プラトンの教育観
勾玉と二人の文士
幽閉された意味
本と書物
種まく人
武士の心
歌の源泉
沈黙の秘技
すこしのかなしさ
赤い鼓動
著者等紹介
若松英輔[ワカマツエイスケ]
批評家・随筆家。1968年生まれ、慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて三田文学新人賞、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』にて西脇順三郎学術賞、2018年『詩集 見えない涙』にて詩歌文学館賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びわこっこ
65
フランソワ・ミレーの絵画から想起して題名が付けられた、日常の中で出会う場面の詩とエッセイ。日常のと言いながら、深く入り込んでいるので、描かれるテーマが抽象的で壮大な感じがする。生活の詩ではなく、どちらかと言うと哲学的だ。エッセイの中に、たくさんの書物からの言葉が挿入されて、最後にその書物の案内、ブックリストが付いている。言葉について、改めて見つめ直す機会を得た。2021/03/15
ふ~@豆板醤
28
3。本が好き!献本。うまく言葉にできない思いや気持ちに寄り添ってくれるエッセイ集。日常に忙殺されるだけでなく、ふと動きを止めてゆっくり自分・周囲・過去について考える時間を持ちたいと思った。それによって何が得られるかははっきりしなくても間違いなく生活の質は違ってくるはず。もっと思慮深くありたいと思わされる本。「「読む」とは 本に 幽閉された 意味に解放を もたらす行為」「人が生きているところ、そこに文学がある。人は誰もが、世界という大地に文学の種をまく人なのである」2018/10/10
けんとまん1007
26
種まく人。何を伝えるのか。どう伝えるのか。受け取る側もいろいろある。そんなことを、考えた。2018/10/20
とよぽん
25
言葉についてのエッセイ集、と言うには内容が重く、一読では受け止めきれない。言葉にできない「思い」を「コトバ」とする。音もなく流れ行く清流を思わせる文章で、題名も表紙も象徴的な作品だ。付箋をつけたところを再読したい。2018/11/12
あっこっこ
19
若松さんの書く文章はとても誠実で真摯。古今東西の人のコトバのその深淵までをも見つめるまなざしにいつも頭が下がります。特に賢者の生涯に心を打たれました。またカズオ・イシグロの文学に対する向き合い方を論ずる姿勢に静かな洞察を感じます。本書についてまだまだ語りたいことが山ほどありますが、今回はここでやめておきます。そして、巻末にて紹介された書籍一覧はこちらとしてもありがたい。ぜひこれらも大事に読ませていただこうと思います。2019/08/31