内容説明
教科化を逆手にとって子どもの自由で個性的な成長を図る実践のあり方を、大学で教職課程の「道徳教育」を38年にわたって教えてきた著者(専門は哲学、倫理学)が論じる。
目次
第1章 教科化の問題点と子どもの経験(教科化でいじめは解決するのか;何よりも豊かな経験を ほか)
第2章 国家と道徳教育(国家と道徳教育;国家の道徳的中立性 ほか)
第3章 道徳教育の可能性と展開(道徳教育の現代的可能性;道徳教育と人権教育 ほか)
第4章 道徳教育を深めるために(人間の本質をどうとらえるか;道徳と主体性の育成 ほか)
第5章 新たな道徳教育に向けて(成長型道徳から成熟型道徳へ;家庭、地域、社会と道徳教育 ほか)
著者等紹介
碓井敏正[ウスイトシマサ]
1946年、東京都生まれ。1969年、京都大学文学部哲学科卒業。1974年、京都大学大学院博士課程哲学専攻修了。専攻は哲学(38年間にわたり「道徳教育」の講義を担当)。現在、京都橘大学名誉教授、NPO法人「おひとりさま」理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
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2018年に教科化された道徳の問題点と可能性について考察した本。対話形式で分かりやすく説明されている。大きなポイントは、「国家の道徳的中立性」という近代立憲主義国家の原則に道徳の教科化が違反しているということだ。戦前は軍国主義の精神的条件(25頁)を修身科が提供した。戦後はその反省に立ち、教基法が教育の政治的中立性を謳い、心の問題に政治権力が介入しないという原則(31頁)が確認された。道徳の教科化は保守系政治家が封建的道徳を押し付けたいという思惑が見え隠れするという。ただ、本書は道徳教育を全否定するわけ2023/02/13