内容説明
アスベストによる肺がん・中皮腫を東日本で繰り返させてはならない!神戸・石巻、ニューヨーク…渾身のルポルタージュ。
目次
第1章 被災地を覆う「死の棘」(がれきの街で;二つの震災 ほか)
第2章 阪神・淡路大震災で何が起きたか(がれきに埋まった被災地;初めてのアスベスト被害 ほか)
第3章 東北へつなぐ(更地の向こう側;二元中継シンポジウム ほか)
第4章 災害の石綿禍―ニューヨーク同時多発テロを考える(知られざる環境被害;セリコフ・センター ほか)
第5章 インタビュー「アスベスト災害を問う」(宮本憲一さん(大阪市立大学名誉教授)
松田毅さん(神戸大学教授) ほか)
著者等紹介
中部剛[ナカベタケシ]
1991年、神戸新聞社入社。社会部、姫路支社編集部、但馬総局などで勤務。アスベストのほか、労働問題、尼崎JR脱線事故、神戸連続児童殺傷事件などを取材。現在、社会部デスク兼編集委員
加藤正文[カトウマサフミ]
1989年、神戸新聞社入社。経済部、北摂総局、阪神総局、論説委員兼編集委員などを経て2011年3月から経済部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
25
中皮腫の労災認定:1年以上の石綿暴露作業に従事していたことが要件(36頁)。アスベスト:自然の鉱物で石綿。加工しやすく、熱に丈夫、安価、防音、耐薬品性、絶縁性、耐腐食性(48頁~)。作業員、防じんマスク使用は2割(84頁)とは低い。わたしの地域でもトンネル天井板撤去では、粉じん(排ガスの煤)で作業員の健康が心配されていたが。アスベストの被害は、長い潜伏期間が特徴。必要なことは、粉じんやがれきに近づいた人を探し、行政は検診し、治療につなぐこと(123頁)。2015/06/08
coolflat
3
瓦礫の総量は東日本2300万トン、阪神淡路2000万トン。阪神淡路では瓦礫処理に対し、アスベストの認識は低く、防塵対策は十分でなかった。アスベストによる中皮腫の潜伏期間は20年から40年。現在、阪神淡路で瓦礫処理に携わった人たちに中皮腫が急増している。それにもかかわらず、阪神淡路を教訓とすることなく、東日本の瓦礫処理に対してもアスベスト対策は全くと言っていいほどとられていない。当然、東日本でも中皮腫が急増すると思われる。行政は瓦礫処理従事者の調査を行い、直ちに「石綿健康管理手帳」を支給しなければならない。2014/04/17