内容説明
目的が正しければ暴力は許されるのか。愛する人のために自爆するのは尊いか。この世界では「正議論」の回答がそのまま実際の生き方になる。中学生との真剣勝負が大人の心まで揺さぶる。大人のための補習授業付き。
目次
1時間目 テロとは何か(テロとは何か;テロの定義の難しさ)
2時間目 テロはなぜ起きる(テロの目的は何か;テロの原因は何か)
3時間目 テロ(暴力)は許されるか(人間にとって大切な価値とは何か;手段としてテロは許されるか;暴力とは何か)
4時間目 テロのない世界をめざして(テロのない平和な世界とは;私たちが果たすべき役割)
著者等紹介
加藤朗[カトウアキラ]
1951年鳥取県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同修士課程に入学し、シカゴ大学大学院に留学。修士課程修了後、防衛庁防衛研究所に入所。その間にスタンフォード大学フーバー研究所客員研究員、ハーバード大学国際問題研究所日米関係プログラム客員研究員などを歴任。1996年より桜美林大学国際学部に助教授として着任。現在、同リベラルアーツ学群教授および国際学研究所所長。専門は、国際政治学、安全保障論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Maiラピ
19
9.11事件さえ記憶にない中学生にテロ問題の講義。<大人のための補習授業>付きです。久しぶりに熟考。考えているようで自分は何も考えてなかったのかな。。と思いました。サンデル教授のジャスティスでみんなで話し合うことを学び、加藤先生の正義論では自分で深く考えてみることを学びました。論点はどちらも 答えが出ないテーマについて。『ビン・ラディンや実行行為者には目的などなかったのではないか。手段が自己目的化し、ただ破壊することだけが目的だったんではないか。』もう少しつづくw2011/10/07
那由田 忠
17
著者はテロを「心理的暴力行為」と定義する(テロリストの意志を伝える手段とも書く)。よくわからない。2000年代に問題化した、目的を持った一般人への無差別的暴力を取り上げずに話を複雑にするだけ。イスラエルが築いた壁は、パレスチナ人の自爆テロを防ぐためではなくて、壁への反発から自爆テロが行われると。ハマスのイスラエル撲滅意図も述べない。どうも抑圧への防御と弁護しているように見える。それでテロ問題を考えさせたことになるのか、本当に不思議な偏ったテロ「考察」だった。正直呆れる本である。2022/03/14
さゆ
11
「目的が正しければ暴力は許されるのか?」 「たくさんの人を救うのならより少ない人を犠牲にしてもよいのか?」 「人を死傷させるのだけが暴力なのか?」等々。 提起された問題に、私は答えを出せない。 「言論の自由」も「人権の尊重」も、言うことは簡単だけれど、実現は難しい。けれども中学生達が、私が想像していたよりもずっと、ひたむきで、しかも、ポジティブであるように思われて、加藤先生ではないけれど「日本の未来は明るい」と思える本だった。2011/10/11
mie
3
図書館。頭の良い中学生たちだ。息子はもうすぐ中学生だけれどこの域に達するにはまだまだだな。中学生たちの意見が興味深い本でした。2015/09/01
乱読家 護る会支持!
3
いい本でした。「私」の価値観や考え、感じかたは、私だけのものであって、他者は違うっていう「当たり前」のことをどれだけお腹の深いところで思えるか。それが、21世紀の大人になるための訓練なのかもしれない。いろいろなことを考えるキッカケになります。2012/01/07
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