出版社内容情報
明治時代小説×本格推理小説の一大傑作!役人の汚職を糾弾する役所の大巡察、香月経四郎と川路利良が遭遇する謎めいた事件の数々。解決の鍵を握るのは、フランス人美女エスメラルダの口寄せの力!? 意外なコンビの活躍がクセになる異色の明治小説。
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
著・文・その他
内容説明
明治の王政復古とともに復活した役所、弾正台。水干姿の優美な青年・香月経四郎と、同僚の川路利良は、その大巡察として役人の不正を糺す任に就いていた。とあるきっかけから、二人は弾正台に持ち込まれる謎めいた事件の解決を競うことに。いずれ劣らぬ難事件解決の鍵になるのは巫女姿のフランス人美女、エスメラルダが口寄せで呼ぶ死者の証言で…!?明治ものにして本格推理小説。驚天動地のラストが待ち受ける異色作。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年忍法ブームに火を付け、開化小説にも新領域を開いた。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
今まで、山田風太郎の明治小説を6冊(ちくま文庫版)読んできたのですが間が空いてしまいました。架空の人物(元佐賀藩士の弾正台の香月経四郎と彼をフランスから追ってきた死刑執行人サンソンの血を引くエスメラルダ)と実際にいた人物などが出てきて、謎の事件を解決していく連作小説です。「怪談築地ホテル館」は、横溝正史のトリックを思い出しました。最後は山田風太郎お得意の結末のような感じでした。2024/08/13
雪紫
70
読友さんからのおすすめ。明治に次々起こる高官殺害事件に(実在人物わんさか)挑むのはフランス人巫女の口寄せ!口寄せ供述がまさかの全編片仮名で読みにくく(そう言えば「大相撲殺人事件」も片仮名だったな)、これ怪作か!?と思いながら最後まで読むと痛快な快作で傑作だ!!?と評価を一変せざるを得ない作品だった。今じゃやたらと溢れ過ぎた連作短編集だけど昔から、こんな隠し玉があったのね・・・・。2022/08/31
みっぴー
68
なぜ今まで読まずにいたのか、山風。維新後、新政府が本格的に始動するまでの"空白"が舞台のミステリー。歴史の空白に現れた平安朝の化物、香月。異国の巫女エスメラルダ。そしてギロチン。後の初代警視総監、川路とともに、様々な謎を解き明かしていく歴史ミステリー。これほど自分好みの作品は、中々お目にかかれない。深みのある人物造型や流れるような会話、独立した話が、最後の一話で繋がる構成も見事。ギロチンに始まりギロチンに終わる。夢幻泡影、弾正台よ、永遠なれ。2017/12/22
かのこ
66
明治初年、維新後の「空白の時代」。弾正台の大巡察・香月経四郎と川路利良がフランス人美女・エスメラルダと共に、不可思議な事件の謎を暴いていく連作短編集。 歴史上の有名人がバンバン登場し、他の歴史小説でも読んだエピソードが随所に!✨歴史好きにはたまらないー(´▽`*)☆ 地味に川路好きなので、彼がフューチャーされてるのがまず嬉しかったり。笑 作品に漂うどこか不気味な雰囲気が、鬼気迫るラストで爆発するのも感服。 惜しむらくは、外見・容姿の奇抜さに比べ、各登場人物の内的な魅力があまり感じられなかった事かな…2018/01/14
コットン
65
ペペロニさんのオススメ本。私の中で著者は伝奇小説、時代小説のイメージでしたがこれは推理小説だったので意外でした。特に最後のクライマックス場面での経四郎の独壇場が映えていました。2020/02/01