内容説明
少年時代の懐かしくもちょっと恥ずかしい思い出、噺家になり小三治師匠のもとで過ごした下積み時代、そんな中で思わずクスッと笑ってしまうような噺家仲間たちとの愉快な話や旅先での出来事、さらに日常で起きたびっくり仰天(!)なコトまで、普段は語られない落語家・柳家三三の素の姿が赤裸々に綴られた、自身初となるエッセイ集。
目次
「みんなの人気者“まっさん”のお話」
「初笑い、新春寄席のウラ側で」
「ゆる~いアイツらに物申す!」
「満開の桜と噺家」
「駆け出し時代、春の日の朝に」
「たった一人の“学校寄席”で…」
「“歯無し家”になりかけて」
「浴衣の“江戸前”な着方」
「私、出演者なのですが…」
「受話器の向こうから…」〔ほか〕
著者等紹介
柳家三三[ヤナギヤサンザ]
1974年神奈川県生まれ。落語家。1993年18歳で柳家小三治に入門。2006年真打昇進。2007年第62回文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞、2016年第66回文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)など受賞多数。映画・舞台への出演、映画や漫画で落語指導・監修も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
111
『男の隠れ家』でのこれまでの三三さんの連載をまとめたもの。5年くらい前からつい最近のものまで。コロナ禍に入ってからのものもある。図書館でまとめ読みしたりしてたけど、2月からはそれもままならず…だったので、嬉しいな。今まで高座でまくらで話されてた事が多く、知ってるもん!というら気持ち半分の読書。ちょい厳しいことを言うと、これ、三三さんを聴かない人が読んで面白いのかな。高座のまくらなら、誰でも笑える話なのに、文章になるとちょい優等生ズラが出ちゃってるかも。でも、愛してます。噺すと、ほんと、いいおとこ。2020/12/02
Willie the Wildcat
71
捻りを効かして、世の中のマイナスを笑いに転換。肩肘張らず読める文体。見習いたいものだ。さて本題。物理的なコオロギ、シュールな戦隊ヒーロー、”認識されず”チケット購入?!など、思わず吹き出すネタ満載。迎えた〆が立ちション也。地下鉄車内での小噺かぁ。その場で聞き耳を立てたかった。一方、自分の体験を重ねたのが『また最初からやって』と、『噺家のそばあるある?』。特に前者はビジネスでも要注意。なお、根本氏のイラストはとても風情もアリ、本著にぴったり。含め、6年間分の執筆のご苦労をタップリ堪能させて頂きました。御礼。2022/04/10
ミサ
10
率直だけど、柔らかいお人柄が出る文体で温かい印象のエッセイ。三三さんの事、落語界の事、日々のささやかな事が綴られて、落語ファンじゃなくても楽しめそう。「耳障りがいい」ではなく「耳あたりがいい」って表現する所、さすが言葉のプロ!改めて大好きな噺家さん!そして、明日2/13は神戸で三三さん(さんざさん)の独演会なのだ〜。楽しみ!!2021/02/12
べあべあ
5
楽しく拝読しました。小田原=静岡県?説は私も身に覚えあり。街の雰囲気が横浜・川崎、というよりなんか静岡なんですよね。高座の三三師匠が年配に見える、というのも分かる!。着物のせいというより、江戸弁があまりに達者すぎて若手に見えないんすよ。白鳥師匠との会で新作を作られた件、この会見れたので楽しく思い出しました。三三さんが白鳥さんに教えを乞うたというカオス。芝の浜で革の財布ではなくパンダを拾うというぶっ飛んだお莫迦な話なのですが、あの語り口なのですこぶる説得力があって、なんか困惑しちゃいました(笑)。2023/03/13
大茶会
2
「月例三三独演」の開演を待つ客席にて、ちょうど、読み終えた。▼とある落語家のエッセイ集がゴーストライターによるものだと知ってから、この種の本には手を出さないようにしてきた。でも、おそらく、この本は三三師ご本人による著作だろうと、思う(というか、そう思いたい)。▼まくらで聞いたことのあるエピソードもあり、初めて知るエピソードもあり。10年間ほども三三師の独演会に通っている私のような者にとっては、うれしい1冊。2021/02/11