内容説明
現象学をはじめてみませんか。語り手の経験に敬意を持ち、語りを可能な限り丁寧に扱う。語りのなかに隠れているその人の経験と思考の襞を精密に解きほぐしていく―大阪大学と東京大学で15年近くにわたって著者が行ってきた授業を踏まえた入門書。
目次
序章 現象学的な質的研究とそこから帰結する世界 一人ひとりに固有の経験と向き合うために
第1章 語りを読み解く技術 インタビューに表れるその人固有のリズムと構造
補章1 自分が伸びる喜びを子どもが感じる 児童自立支援施設の支援者浅川孝之さん
第2章 語りを聴く インタビューの技法
第3章 語りを読む 逐語録との向き合い方
第4章 現象学の倫理 語り手への配慮と語り手からみた「私」
補章2 事例分析と手順の解説 認知症を持つ人と約束する
第5章 この世界と人間の経験はどのような姿をしているのか? 現象学的質的研究と哲学
結論 多元的宇宙 個々人の生をまなざしながら社会構造を意識する
著者等紹介
村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
1970年、東京都生まれ。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。現在、大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。専門は哲学と現象学的な質的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
日輪
7
会話文を並べたような記述が多く、「まとまりがなくてもいい」という主張もあるけど、読み手が上手く整理することはやはり必要で、ひょっとすると最近はLLMを使う方法もあるのかもと思った2026/07/18
リュシス
3
他者の生々しい語りの奥にある経験の「本質」をどうすくい上げるか、その具体的な手法を記した一冊。特に、対象が他者との距離をどう捉えているかによって「呼び方」が変わるという指摘には深く納得した。私自身も「子ども」「児童」「あの人」と使い分けているが、その奥にある構造をあぶり出すこのアプローチは本当に魅力的だ。具体的で分かりやすいが、インタビューも分析も相当な熟練が必要だと感じる。だからこそ手元に置いて何度も読み返したい。2026/06/01
Tatsuo Mizouchi
2
人びとの語りは同じ単語、同じ文法を使っていても全く違うもの、また、他人が聞けば、意味不明であっても語る人には合理的な理由がある。それを質的研究の方法でかぎ分け、構造化していく。客観的統計的な解釈は個々の人生の重なりであって、だれの人生でもない。まぁハード設計とか生物医学的には問題ないのだろうけど、主観的な幸福には結び付かないよね。私はあなたではないが、あなたでもあるってこと。2026/02/21




