内容説明
倫理は人間のためだけのものじゃない。畜産、動物実験、ペット、動物園/水族館、競馬、介助動物…、「種差別」を乗り越え、新しい関係性を共に考えるための超入門。
目次
第1章 基本的人権から「基本的動物権」へ(基本的人権って何?;基本的人権はなぜあるのか;ならば、動物にも基本権がある;「生き物」について)
第2章 動物権利論と飼育動物の問題その1―畜産動物、実験動物(動物を解放しよう;現代の畜産と動物権利論;動物実験と動物権利論)
第3章 動物権利論と飼育動物の問題その2―動物園/水族館、競馬、伴侶動物、介助動物(動物園や水族館って、なんであるの?;競馬って、そもそも必要か?;伴侶動物は飼ってもよいのか?;介助動物はどうなのか)
第4章 動物権利論と飼育されていない動物の問題(野生動物についてどう考えるか;境界動物というのもいる;外来種の問題は難しい)
第5章 動物倫理と世界観(キリスト教は動物に優しくないか;仏教は動物の味方のはず;非暴力は素晴らしい)
著者等紹介
浅野幸治[アサノコウジ]
1961年兵庫県に生まれる。1984年東北大学文学部卒業。1989年東北大学大学院文学研究科哲学専攻博士前期課程修了。1997年テキサス大学オースチン校大学院哲学科博士課程修了。現在、豊田工業大学准教授。哲学博士(テキサス大学オースチン校)。専攻/哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イボンヌ
10
食肉について改めて考えさせられます。しかし全く食べ無い、と言う訳にもいきません。 2021/07/04
さんかくこんにゃく
2
初めに著者が断っている通り、この本は通常の入門書のように対象分野の知見を概覧するような作りではなく、著者の考えを前面に押し出す作りとなっている。この方針そのものの是非はここでは問わないが、少し主観が強すぎて、学問的と言えないような部分も散見される。また、この手の本にありがちな、過剰に負の価値を想起させる言葉や嫌悪感を催すような比喩がこの本でもいくらか見られる。個人的にこういったレトリックで押し通そうとする姿勢を見ると、真摯に議論する気がないんだなと思ってしまう。2022/01/12
田蛙澄
1
わりとラディカルな方向性の動物倫理本だと聞いていたけど、思ったよりむしろスタンダードで、主張をはっきりさせつつも読者に自主的に考えさせる姿勢は好感が持てた。伴侶動物についても十分に動物の利益になっていれば認める姿勢も好ましい。第二世代以降の特定外来種に対して、多数の在来種の危害になる場合には排除も仕方ないとする考えは、確かに模索するしかないとはいえ、アカミミガメを飼ってる身からするともやもやする。まあ考え続けるしかないのだろうけど。2023/10/29
jam
1
とても良い本だった。日本のネットの世界だとヴィーガンは攻撃されやすい。しかし日本に肉食が日常的に定着したのはここ百年くらいの事で、そんなに長い期間ではない。肉を食べなくても人間は生きられる。ただ完全なヴィーガンはなかなかハードルが高いので、私も「時々ベジタリアン」程度ではあるが実践するようにしている。なぜ動物を食べてはいけないか、それについてはこの本で詳しく書かれているのでぜひ読んで欲しい。2023/01/06
祐徳太子
1
田上孝一の新書の前に読むといい。ただ、著者は競馬の即刻廃止を求め、「昆虫の権利」も認めたいと明言しており(P.71)、田上よりラディカルで挑戦的である。 キリスト教の菜食主義的解釈は新鮮だったが、神を信じない以上、宗教的戒律や宗教的命法に依らずに倫理の問題は考えたいところだ。2022/04/01