内容説明
毎日おいしいものを腹いっぱい食べられることのために。食から世界を考える。
目次
第1章 食料の地理学の基礎(毎日おいしいものを腹いっぱい食べられることのために;食料の地理学の使うツール―フードチェーンの地理的投影)
第2章 フードチェーンの地理的拡大(フードチェーンのプロトタイプ;フードチェーンのはじまりと成長;国家の枠組みを超えて)
第3章 量の話と質の話(量の話―フードチェーンはどのようにして量を確保してきたのか;質の話―フードチェーンはどのようにして質を維持するのか)
第4章 食料の地理学の取り組んでいること(理論的アプローチ;具体的アプローチ)
食料の地理学の可能性あるいは終章(有事の食料の地理学;食料の景観論;そして未知(?)の領域も
食料の地理学とそいつらの裏側―おわりに)
著者等紹介
荒木一視[アラキヒトシ]
山口大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
26
コンヴァンシオン(他著として、『コンヴァンシオン理論の射程―政治経済学の復権』がある)とは慣行。品質測定のモノサシ:市場的慣行、工業的慣行、家内的慣行、世論的慣行、公民的慣行(62頁~)。より複雑な枠組みへ向かう世界の図4-1では、従来の単純な南北問題は、むしろ、座標平面上で説明できる時代に変わってきた。日本でも格差社会は第Ⅱ象限の北側世界の貧しい消費者に位置付けられると思われる。それぞれに人、モノ、カネ、情報の経営資源が移動していく時代か。ウォーラーステインの世界システム論。2015/02/01
nyanlay
6
文体は易しいですが、内容は学術的にもしっかりしているし、何より読者に問題提起し、考えるようになっており、押し付けがましくないところが好感持てました。農学と言うより経済学ですかね。2017/06/27
たらこりっぷ
5
食べることと地理学が大好きな私はタイトルだけで飛びついていました。食の問題を考える上で、地理学的な切り口だとどうなるのかをわかりやすく説明しています。どう考えていくかだけが提示されます。答えとしてどうなるかは何も示されません。だから教科書なのでしょう。スーパーに行って買い物、ファミレスで昼食、自分の行動がどこにつながっているのか改めて考えさせられました。2014/04/21
遥
4
荒木一視さん著の「食料の地理学の小さな教科書」を読み終えました。食料がどこで生産され、どこで加工され、どこで消費されるのか、それを線でつないだものをフードチェーンといい、すべての食料について適用されます。つまりそれは、私たちの生活に身近なものです。本書はそんなフードチェーンの易しい教科書で、特に前半は子どもにも読んでもらいたい内容でした。グローバル化したフードチェーンは、距離の分環境や経済的な負担が大きいのに対し、ローカルフードチェーンでは、食料を賄いきれないという問題などが整理されています。2023/05/28
TALOS
4
食料について見極める能力を身につける本と標榜するだけあって、具体的な例はあまりありません。ですが、生産者の顔が見えない今の食料事情について考える機会を得られる作品でした。2013/11/10