内容説明
生きる意味ってあると思う?ボードレール、ニーチェ、森鴎外、西田幾多郎ら先人の苦悩と重ねつつ、現代の苦悩の本質を究明し、再生の道を探る。
目次
第1部 生の無意味(日常の過酷な生―死を遠くはなれて;生の解放と存在の感覚の喪失;生きている理由/私なずにいる理由;苦しむことの力)
第2部 死の意味と生の再生(空っぽの器を満たしてくれるもの;未来に希望をつなぎとめる;もうすこし、生きてみよう)
著者等紹介
三谷尚澄[ミタニナオズミ]
1974年三重県に生まれる。1997年京都大学文学部卒業。2002年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2006年文学博士(京都大学)。現在、信州大学人文学部准教授(専攻/西洋哲学・倫理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ken
4
死を見つめるか、死をごまかすか、前者は現在にリアリティを与えるが苦痛を伴い、後者は心地よいが現在のリアリティを失う。どちらがあるべき生き方なのか、自分はどうしたいのか、筆者同様答えは出ない。それでも悲しみを直視して受け止めた先にある景色があってほしいし、現在を現在のままに受け止めることで生まれる世界があってほしい。それは信仰というほど仰々しいものではなく、願いといったほどのささやかなものだ。本書の結論だって明晰さに欠ける感傷的な願いかもしれない。それでももがきながら生きる人間から滲み出る誠実さがある。2019/07/16
やす
2
死に正面から向き合い、生きる意味を考えさせる本。死んだら終わりだから究極的には生きる意味なんてないと認めたうえで、それでも生きねばならないという筆者の意見に全面的に賛成する。 生きる意味はなくとも、生きねばならないという大前提の上で、各々が生きる目的を定めて生きていくことだと思う。2019/03/11
1_k
2
いやっほーう、大樹先生の文章が、またもや人文系のまじめな書籍に載ったぞ! 引用されたのは、やっぱり「勇者と探偵のゲーム」。それはそうと、本書、一応哲学系のカテゴリにはいるのでしょうが、情緒と理性の間の葛藤をバランスよく記述した、なかなか誠実な内容でした。永井均先生のようなナチュラルボーン哲学者じゃない、普通の人間の作り上げた哲学といった印象。明確な結論には至っていないものの、「意味のない苦しみ」に対する本書のアンサーをあえて要約するとすれば、悲しみや諦観を通じた「強度」の確保、ってことになるのかな?2013/02/03
T.S
1
何をどう書こうか迷う。たった255文字に何を込められるか。「生」と「死」。これはわたしのこれまでの人生のテーマであり、これからもこれに囚われながら生きていくのだと思う。かろうじて生きている今。それは偶然に過ぎないのかもしれない。でも、そうやって生きてきたことを著者は肯定してくれるだろう。「生きる意味」はないかもしれないが、「死なないでいる理由」はあるかもしれない。ただそんなあいまいで単純で今にも壊れそうな理由を述べるためにこの本は書かれている。わたしたちの生は、「意味」なんてない。そう述べるためだけに。2020/01/29
ジモー
0
しかしこの本で取り上げられる無意味さの水準は、あの巨大な、わかる人にしかわからない引き伸ばされた無の観念からくる死の恐怖のレベルには達していないようである。逆に言えばそんなものはなくともこれくらい悩むことができるということでもある。2016/07/07
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