目次
第1章 怪談とは何か
第2章 死への恐怖と好奇心
第3章 狐狸妖怪
第4章 幽霊の正体見たり
第5章 男と女と怪談と
第6章 怪談論
怪談十選
著者等紹介
稲田和浩[イナダカズヒロ]
1960年東京生まれ。演芸作家、評論家。日大芸術学部卒業。雑誌記者、ライターを経て1986年より作家活動。演芸台本、邦楽の詞作、演出も手がける。日本脚本家連盟、日本放送作家協会所属。民族芸能を守る会相談役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にしの
3
古今東西、怪談をテーマに論じようという意欲を感じます。まあ、学術的なものでなく口語調で書かれているので新書のように軽く読めます。落語を専門とした書き手なので、牡丹灯籠などの江戸時代に語られた怪談が中心。そのほか、怪談とホラーの違いなど。人生であなたを震え上がらせた怪談とはなんだったのか、そういう振り返りの一冊。2020/08/10
qoop
3
著者の専門である演芸に根差した狭義の怪談論。ただ、演芸的な怪談の周辺領域/近接分野に対する理解と関心が薄いのか、比較考量がかなり雑で、ぼんやりした像しか浮かんでこない。怪談の範囲を広く取って広義の怪談から狭義の怪談を切り分ける方向で論を進めるか、あるいは素直に古典芸能にみる怪談のみ論じれば良かったのではないか。同社から出ている著者の「浪曲論」「大人の落語評論」が面白かっただけに残念。2015/07/21
乱読家 護る会支持!
2
僕が子供の頃、母親に「なんで、夏に怪談ものが増えるの?」と聞いたら「ブルブル震えて暑く無くなるから」と返され、納得しなかった記憶があります。 本書が冒頭に答えてくれているのは、「夏は日が長くなって、皆が夜に行動出来たため、芝居小屋など余興が流行ったこと」「昔は家を開放して、蚊帳の中で寝た。家の中から見える外の暗闇に昔の人は不気味なものを感じることが多かった」。 夜はエアコンをかけて窓を閉めて寝て、外は街灯で明るく、そして科学が死後の世界を否定している現代社会。そりゃ妖怪も幽霊も出てはこれないですよね(笑)2023/07/08
カーメンホワット
2
軽いスナック菓子つまんだような感じ。ちょっとなら読める時間用みたいな。たとえばトイレでふんばる前のタメの数分間2015/08/18
田中峰和
1
演芸作家で、落語に造詣の深い著者は落語や講談をもとに怪談を論じる。怪談を聞く人は、常に責められる側に感情移入するそうだ。四谷怪談であれば、伊右衛門に毒を盛られ責められるお岩に同情するが、化けたお岩が追い詰めると伊右衛門に感情移入するのだ。これが怪談を聞きたがる人、怖がりたがる人の特性だという。西洋の怪談との比較では、ホーンテッドマンションを例に説明。日本では人に憑く幽霊が基本だが、西洋では家や屋敷にとり憑く場合が多い。輪廻を信じる仏教徒にとって、恨みで成仏できない恐怖が日本の怪談の基本なのかもしれない。2015/09/15