出版社内容情報
在日朝鮮人として生きぬくために、
音楽はどう変化し、どのように必要とされたか?
「音楽に国境や政治は関係ないと人は口々に言う。しかし、音楽という文化現象は、政治や社会の影響を受けない、中立した、イデオロギーと終始無縁な存在なのでは決してない。どれをとっても、時の政治状況と全く関わりがないものはないのである」。植民地期に民族的な文化を奪われてきた人々は、本国から離れた日本の地で音楽活動をするにあたって、民族音楽の営みを根底から作り変えるほかなかった。そこで生まれたマイノリティの表現としての文化実践は、日本社会において一貫して不可視化されてきたのである。その文化実践の在り様は、朝鮮半島の分断・冷戦以降の構図に大きく翻弄され続けている。本書は、在日朝鮮人の音楽活動が、日本社会のポストコロニアルな状況に対峙するにあたって、どのように展開し、いかなる民族性を表現してきたのか、そのダイナミズムを解き明かす。
これは、日本人がほとんど知らない在日の現代史である。
【目次】
第1章「解放」後の在日朝鮮人運動に呼応する音楽活動
――民族音楽活動の誕生と受難
第2章中央芸術団の創団と社会主義民俗芸術の伝搬
――在日芸術活動への挑戦
第3章生活のなかの音楽団、朝鮮歌舞団の登場
――分断・冷戦対立の狭間で生まれた活動
第4章朝鮮学校における音楽教育体系の形成
――民族音楽経験の創造
第5章大音楽舞踊叙事詩の上演実践と民族音楽活動の結実
――分断・冷戦下における文化闘争
第6章音楽教育の再編と校歌創作をめぐる実践
――在日民族音楽の再創造へ
第7章創作曲に描かれる祖国・故郷・在日
――ディアスポラとしての音楽表現
終章 民族音楽活動における3つの困難の克服



