出版社内容情報
アメリカは「人口」をどう数えてきたのか?
大統領選をも左右する人口調査の歴史から読み解くアメリカ国家の変容!
10年ごとに全米で実施されるアメリカのセンサス(census)。「国勢調査」とも訳されるが、単なる人口統計ではない。米国では各州の下院議員数をセンサスの人口数に依拠させることが憲法で定められており、センサスは連邦議会・大統領選に影響を及ぼし、州の力関係の変化は南北戦争の遠因ともなった。さらにセンサスの変遷は、奴隷制とその廃止、先住民や移民の地位、公民権運動などの歴史とも結びつき、「人種」分類をめぐる混乱と改定は今日まで続いている。
ペストのパンデミックへの対応に淵源を持つ近代センサスの始まりに遡りながら、植民地時代から現代にいたるまで、センサスがアメリカ国家のあり方を変えてきた歴史をたどる。
【目次】
第1章 疫病、国力と人口統計―大西洋両岸で交わされた人口論争
第2章 英領アメリカの形成―ヴァジニアと人口
第3章 ニューヨーク植民地と人口―その戦略的重要性
第4章 連邦センサスの登場―独立宣言から連邦憲法まで
第5章 南北戦争に至る道―奴隷、移民と割当人口
第6章 南北戦争前の人種分類とセンサス
第7章 南北戦争後1930年までの人種分類とセンサス
―国籍の人種化と複数の人種からなる人々
第8章 人種・エスニシティをめぐる混沌と3つの基準改訂
第9章 センサスと人口