内容説明
歴史学、文学、哲学、思想史、情報学の学際的な共同研究によって「古文書学」を諸分野と関連させ、古典学は固より思想史・文化社会学・言語学・メディア学などにおける「古文書学」の可能性を提起する。また古文書の世界を様式論・機能論・伝存論を伝達の作法・表現や心情の発露として記号論と結ぶことによって包括的に行動学として捉え直す。同時に古文書の「置換え」もしくは「翻訳」が行われる現象から諸々の媒体要素としての可能性も分析する多面的な論集。
目次
1 研究の歴史と展望(書の遣り取りをめぐる史的研究の意義―古文書論をメディア論に位置付ける観点から;西欧文書学の現代的展開と「アーカイブズ論的転回」)
2 様式の普及と実現(日本の文書様式における印の問題をめぐって―公印・私印の近代への展開;鎌倉幕府をめぐる闕字の出現と転回;中世渡米僧の手紙―蘭溪道隆の宋式書状と和風書状)
3 伝存と活用(安都雄足にまつわる日本古代の特異な私信群から―現代に伝わるはずのない「石山紙背文書」をめぐって;正倉院佐波理加盤付属文書の機能と伝来―内容の解釈を踏まえて;日本中世の領主と在地社会の文書授受―戦国期公家荘団領主の在荘直務日記『政基公旅引付』;デジタル漢籍の誕生―紙から画面へ)
4 心情と身体(中世の声の画像化素描―「かのように」声を描く歴史をめぐって;言語の中の身体―理論と実践と経験に現れる身体の歴史的・文化的多様性;書簡故実に現れた心情表現史―恐怖を中心に)
著者等紹介
リュッターマン,マルクス[リュッターマン,マルクス] [R¨uttermann,Markus]
国際日本文化研究センター名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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