出版社内容情報
天意には叶うが、人の掟に背く恋(『それから』より)
――前期三部作『三四郎』、『それから』、『門』のなかで、
漱石は「姦通罪」を批判している――
「姦通」のテーマでつながる三作品を詳しく分析、「姦通罪」を制定し、改悪した
国家権力と家父長的な社会制度への批判を読み解く。
内容説明
『三四郎』『それから』『門』で、漱石は「姦通罪」を批判している―。「姦通罪」を制定し、改悪した「国家権力」と家父長的「家」制度への、漱石の挑戦を読む。
目次
前期三部作の前提(三部作の構造―旧約聖書とズーデルマンの『消えぬ過去』の影響;姦通という主題、および「姦通罪」に対する従来の研究の誤解;漱石自身の姦通願望の投影だという説;従来の研究の「姦通罪」に対する誤解;「姦通罪」の歴史、検閲)
第1部 『三四郎』―姦通劇の開幕(はじめに―『三四郎』の構造、および読みの問題;三四郎が元「海軍の職工」の妻との姦通に失敗する話の政治性 ほか)
第2部 『それから』―「天意に叶ふ」恋の物語(はじめに―「維新の志士」的気迫;「天意」とは ほか)
第3部 『門』―誰も死なない姦通小説の誕生(はじめに―『門』の革新性;姦通文学の歴史 ほか)
著者等紹介
キムラ・スティーブン,千種[キムラスティーブン,チグサ] [Kimura‐Steven,Chigusa]
元カンタベリー大学(ニュージーランド)教授。京都女子大学短期大学部英文科卒、オックスフォード大学(英国)留学、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)で修士号、カンタベリー大学で博士号取得。退職後、早稲田大学国際教養学部非常勤講師、現在、同大学ジェンダー研究所招聘研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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