出版社内容情報
メディア、映像文化の中に拡散するゴシックの源から、現在の特定の時代や作家達に還元されないゴスカルチャー迄への批評論集。
目次
なぜゴシックか?―フロイトからマイケル・ジャクソンへ
第1部 文化(クィア・フランケンシュタイン―ゴシックと死の欲動;ロバート・エガース監督作品『ウィッチ』を“深読み”する;「南部ゴシック」の政治学―『ヴァンパイア・ダイアリーズ』と『トゥルーブラッド』の「怪物」たち ほか)
第2部 アダプテーション(E.A.ポー「アッシャー家の崩壊」の映画化について;『黄金の眼に映るもの』とホモフォビア―カーソン・マッカラーズとジョン・ヒューストン;シンデレラの子ども―『ジェイン・エア』と『13番目の物語』 ほか)
第3部 文学(オースティン流ゴシック小説『ノーサンガー・アビー』;トニ・モリスン『ラヴ』における亡霊たち;「西」から来た魔女―アイリッシュ・ゴシックとしての『吸血鬼カーミラ』 ほか)
著者等紹介
武田悠一[タケダユウイチ]
アメリカ文学、批評理論。元南山大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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∃.狂茶党
12
第七章 『ジェイン・エア』と『13番目の物語』 フェミニズムの話。 シンデレラ・コンプレックスは、女性向けコンテンツで、繰り返される呪いのようなものだ。 ”「ゴシック・ヒロインには自分の舌以外に手段はない」” 語ることは戦いだ。 * 第十章『ラヴ』 モリスンの南部を舞台としたゴシックな舞台設定の小説。 家父長制とフェミニズムさらには、シスターフッド。 アメリカの抱える人種差別と、性差別の位相のずれ、帝国主義の構造までを捉えていく。 これは「世界文学」ではないか? 短いながら、刺激的な文章。 2023/03/31
Yoko Kakutani 角谷洋子/K
2
私の嫌いなフロイトを引用してみたり、扱っているテキストがマイナーだったり、焦点がどこに定まっているかよく分からず、個人的に読み進むのに苦労した。印象に残ったのは南部ゴシックの章。ドラマ『トゥルーブラッド』を分析し、理想論だけを掲げ、自ら手を汚すことをしない冷たいリベラルを象徴するとしてオバマを風刺している、との論考は興味深い。2022/02/25