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出版社内容情報
人を喰うことは、常に神を喰うこと
私たちは神への深き愛ゆえに、神との融合を求めて聖餐を催し、その血肉に見立てたパンと葡萄酒を体内に取り込んで恍惚とする。だとすれば、兄弟たる人間へのフィリアゆえにその肉体を貪る行為も、貴き愛と呼べるだろう......
なぜ男は「美しいひと」を食べたのか。全篇にちりばめられた、古今東西の食人にまつわる膨大な逸話の引用から浮かび上がる、「真実の愛の行為」としての食人の姿とは。この、妖しい輝きを発する告白体の小説こそ、カニバリズム文学のイデアへの最接近を果たした奇書と呼んでも過言ではない。
内容説明
男は美しいひとを食べた―真実の愛ゆえに。全篇にちりばめられた、古今東西の食人にまつわる膨大な逸話。この、妖しい輝きを発する告白体の小説こそ、カニバリズム文学のイデアへの最接近を果たした奇書と呼んでも過言ではない。
著者等紹介
チェンティグローリア公爵[チェンティグローリアコウシャク] [Duca di Centigloria]
本名ヨハネス・クーデンホーフ=カレルギー(1893‐1965)。オーストリア=ハンガリー帝国公使であったハインリヒと青山光子の長男。ロンスペルクの領主であったが、二度の大戦で財産の大部分を失い、晩年はレーゲンスブルクで過ごす
大野露井[オオノロセイ]
1983年生れ。法政大学国際文化学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
75
図書館の新刊案内で気になり読んだ。著者が公爵と書かれていたが、オーストリア=ハンガリー帝国公使と日本人・青山光子の長男であり、数奇な人生をおくっている。その生い立ちは、この本の後半の解説に詳しく書かれている。そんな著者によるカニバリズム文学。書かれた時代背景のせいか、かなり差別的な表現も多く、全編「食人」に関わる記述で占められる。この倒錯した愛の表現は、常識を超えていく。人を迷わせるような表紙の装画は、ヒグチユウコさんだった。2022/04/07
HANA
61
タイトルからわかるようにカニバリズムを主題にしている一冊。内容は男女二人の会話というかほとんど主人公の男性の独白が中心。彼らの関係が最終的に食人行為に変わるまでを描いているのだが、ひたすらディレッタンティズムで食人やエロティシズムに関する百科事典的な内容が続いていく。個人的には好きなんだけど、退屈に感じる部分もありこれは人を選ぶ内容かも。何となく澁澤龍彦思い出す部分もあるかな。久々に黒い神の祭祀書、泰西エロティシズム文学を堪能出来て満足しました。昨今背徳を楽しむ事が出来るのは文学的想像力だけだろうし。2022/04/16
Vakira
59
古今東西、食人叡智の殿堂。食人とは何か?究極の快楽か、性愛の符牒か?古代から情熱と死は背中合わせ。快楽の館では死は遊戯となる。食する躰のパーツの質感をじっくりと舐めるような文章表現は詩的&官能的、まるで谷崎潤一郎さんの艶感。食人の目的は何か?一説には人間の4分の3は獣で残りの1が神でできているとの解釈からより神に近づくためには食人が必要とのこと。よって食人は戦争、舞踏、祭、愛、宗教、人類の偉大な営みと密接に絡みあっている。愛と憎しみ、恐怖と尊宗が互いに貪り組合ってんだな。なんか澁澤龍彦さんの蘊蓄みたい。2022/05/08
くさてる
21
こういうのを奇書というのだろう。濃密で美しい文体で語られる性と暴力、人肉食の世界。無邪気と言っていいほどの無頓着さで語られる差別的な視点にちょっと辟易としてしまったのだけど、解説で作者の背景を知って、ますます「奇書」だという思いを強くした。昔読んだ澁澤龍彦を連想したのはなぜだろう?2022/05/28
アカツキ
10
僕は君の妻イザベルが本当はどのように死んだのか話そうと思う…。妻を愛していた夫ならどんな反応をするんだろうワクワクとなるんだけど、妻を放っておいて青年と旅行を楽しむゲイの夫という時点でね、テンション下がるよね…。僕の長々とした講釈を大人しく聞いている夫の図が面白いだけだった(夫が僕を"食べる"想像していて話を聞いていない説、あると思います)。私には合わなかったと中盤手前から斜め読み。2024/01/19
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