内容説明
哲学や文学に表象された「記憶」の意味を問い直す。「記憶」を意識せずに物語は読めない!
目次
第1章 記憶と書き込み(記憶の蝋板;記憶術;記憶と書物)
第2章 記憶と主体(内面への転向;ルソーの連想の鎖;よみがえる心象風景)
第3章 無意志的記憶(フロイトの「マジック・メモ」;プルーストの「マドレーヌ」;トラウマ的記憶)
第4章 集合的記憶(モーリス・アルヴァックスと集合的記憶;ピエール・ノラと「記憶の場」;戦争と集合的記憶)
結語:忘却術?
著者等紹介
ホワイトヘッド,アン[ホワイトヘッド,アン] [Whitehead,Anne]
英国ニューキャッスル大学の現代文学および比較文学准教授。研究分野は現代イギリス文学(パット・バーカー、W.G.ゼーバルト、カズオ・イシグロ)、トラウマ研究、情動とフェミニズム、医療人文学(Medical Humanities)など多岐にわたり、雑誌The Journal of Literature and Trauma Studiesの編集委員も務めている
三村尚央[ミムラタカヒロ]
千葉工業大学准教授(工学部教育センター)。広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。関心分野はイギリス文学(カズオ・イシグロなど)および記憶の文化。記憶やノスタルジアから見た文化研究の領域を整備して、関連書籍や作品のリストを編めないかと模索中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
3
基本的にリクールの『記憶・歴史・忘却』に重なっている気がするけれど、非常にわかりやすくまとめられているので、リクールの本に書かれていることの理解を助けてくれる気がする。さらにその他の参考文献(特に英語圏)も豊富なのもありがたい。2020/08/01
Nobody1
2
膨大な文献や議論の整理が非常にありがたい。人文系の記憶研究の見取り図として良質の本であり、翻訳されたことに感謝。2018/02/22
ゴリラ爺
0
文章が熟れていない逐語訳で読みづらい上に専門的な記述が適切に訳されていると思えない、つまり記述内容に不信感を抱かせる箇所が多々ある。特に「記憶」に関連して精神医学や精神分析の話が絡んでくるが、このあたりの理論や用語法を訳者がきちんと理解できているのか疑わしい。なかでもDSMが「DMS」と誤記されており、それが一箇所ではなく連発されていたことには驚いた。正式名称も「Diagnostic and Statistical Manual」と書かれていて肝心の「of Mental Disorders(精神障害の)」2021/09/02
i-kom81412
0
良心的な翻訳で読める。私自身は第4章「集合的記憶」を目当てに読んだが、昨今のフェイク・ニュースやポスト・トゥルースの問題、真実や正義があまりにも簡単に歪曲されてしまう状況への示唆として、それらへのオールターナティヴとしての「記憶」の役割があるのではないかと思われ。2018/01/01