内容説明
『時の葦舟』は、日本SFの一つの到達点を示した“連作長編”。四つの世界を、時空を超えて漂い流れる「時の葦舟」…。時空が変わるたびに変転する登場人物たち…。夢を通して語られる世界の秘密とは…?“幻想SF”とでも呼ぶべき独特な荒巻ワールド!
著者等紹介
荒巻義雄[アラマキヨシオ]
1933年小樽市生まれ。早稲田大学で心理学、北海学園大学で土木・建築学を修める。日本SFの第一世代の主力作家の一人。現在も札幌で旺盛な作家活動を続けている
巽孝之[タツミタカユキ]
SF評論家、慶應義塾大学教授
三浦祐嗣[ミウラユウジ]
SF研究家、元北海道新聞文化部長。イスカーチェリSFクラブ元会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターライト
4
表題作をはじめとした連作短篇〈白亜シリーズ〉5篇と、SFファンジンに掲載された短篇、北海道新聞連載のインタビュー等を収録。連作短篇は、『白き死~』に見られた、同一人物が異なる名前で登場しつつ、世界の成り立ちを明らかにするストーリー。石による飛行機械などの魅惑的なガジェット、夢か現実かわからないような、まるで窓ガラスかカーテンごしに風景を見るような描写に強く引き込まれる。インタビューは著者の生い立ちが詳細に語られ、北の大地が彼の作品に強く刻印されていることがよくわかる。2015/03/25
記憶喪失した男
3
連作短編集。時と石に囲まれた街と夢を扱った幻想小説。 2015/07/08
ぶうたん
1
同人誌掲載の短編以外は既読だが、表題作はやはり素晴らしい。鏡、植物、石をモティーフにした3編と、それらを連関させてまとめあげる完結編からなる連作SF中編集。精神科学の知識があればもっと楽しめたはずなので、そこはちょっと悔しい。サイレントスター掲載の短編は、独創的なアイディアと、多少の形式の工夫を盛り込んだ著者の若き日のとんがったSFで、これまた楽しい。白き日も、聖シュテファンも良い作品だと思うが、再読してみてやはり初期の短編や連作には敵わないと、あらためて思い知らされた。広く読まれるべき傑作。2015/03/04
かやは
1
俺もそろそろトカゲ狩りに出かけないとな……2015/02/26