内容説明
「台所の塩?汗?涙?それとも海水の塩?わたしが今までどんな種類の塩を舌で味わってきたか、わかりますか?」1920‐30年代のパリ。ガートルードスタイン家の料理人となったベトナム男性ビンの見たものは。
著者等紹介
トゥルン,モニク[トゥルン,モニク][Truong,Monique]
1968年、南ベトナムのサイゴンに生まれる。1975年、6歳の時に家族とともにアメリカに移住。イェール大学で文学を学んだ後、コロンビア大学法学大学院を修了。著作権法に関する弁護士となる。第1作『ブック・オブ・ソルト』(ホートン・ミフリン、2003)で、バード小説賞など、多数の文学賞を受賞、一躍話題の作家となる。現在、ニューヨークのブルックリンに夫と在住
小林富久子[コバヤシフクコ]
1943年、大阪生まれ。大阪外国語大学英語学科、及び、ノースカロライナ大学英文学科を卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授、アメリカ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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seacalf
32
若きピカソやヘミングウェイ等との交流でも有名なガートルード・スタインとパートナーのアリス・B・トクラスに仕えた料理人ビンの物語。総督のもとで働いていた故国ベトナム時代や厳格な老父を始めとした家族の記憶、洋上時代の記憶、そして奥様方や恋人達とのエピソード。すべてが交じりあい、思考は自由にさまよう。話の筋らしきものはなく煙のように漂い捉えにくいのだが、確実に別世界にいざなってくれるその文章は読み応えあり。そして言うまでもなくオムレツ、ラム肉、アドリア海風ヒレ肉など官能的なまでに美味しそうな料理の描写も多数。2018/08/13
りえぞう
2
○。LGBTとグルメの世界。フルールドセルなんか出てくるが、虚実入り交じる世界に、何か入り込めず。2020/02/12
キナちゃん
0
ベトナム人著者の本を初めて読んだ。当時の労働環境や細かな料理描写など興味深い。終始不思議な雰囲気であったこと、またベトナム社会の理解が足りなかったことで、本を味わいきれなかった。2022/03/15