内容説明
信州松本浅間温泉にあった秘められた特攻隊の物語。満州新京で編成された特攻隊(武剋隊・武揚隊)の隊員と鉛筆部隊(世田谷、代沢国民学校の疎開学童)とのふれ合いを中心に、次々にほとばしる数多の挿話を交えて史実を明かす感動ノンフィクション。
目次
第1章 鉛筆部隊
第2章 下北沢
第3章 浅間温泉
第4章 特攻隊
第5章 武剋隊と武揚隊
第6章 武揚隊の遺墨
終章 残された謎
あとがきの物語
著者等紹介
きむらけん[キムラケン]
1945年満州(現中国東北部)撫順生まれ。童話作家、文化探査者。96年『トロ引き犬のクロとシロ』で「サーブ文学賞」大賞受賞。97年『走れ、走れ、ツトムのブルートレイン』で「いろは文学賞」大賞・文部大臣奨励賞受賞。11年『鉛筆部隊の子どもたち―書いて、歌って、戦った』で「子どものための感動ノンフィクション大賞」優良賞受賞。北沢川文化遺産保存の会の主幹でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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detu
37
信州浅間温泉に疎開した子供達が皆で口ずさんだ唱歌の詞を探し求める所から始まった。その歌は松本飛行場に滞在中、児童達と同宿した特攻隊員に捧げる歌だった。子供達との心の交流は死に往く隊員にとって今生の僥幸となった。著者は歴史捜査のような取材を進める内に特攻隊員の魂に導かれるように新しい関係者、遺族、生存者と、新事実と出会っていく。話は児童だけに留まらず広がっていく。うわべだけ知っていた特攻の悲劇はもっと深い所にあることを思い知る。直筆の墨書が写真にある、魂の叫びが。子供達は書いた鉛筆で。両親に特攻隊に手紙を。2017/04/14
スー
9
ブログへのコメントから始まる長野県に疎開した小学生と特攻隊のふれあいの事実を知り、それを調べる為の旅を一緒に体験できる良書でした。特攻隊といえばやっぱり九州を真っ先に思い付くので、まさか松本に居たなんて思いもよりませんでした。しかも子供達と一緒に遊び歌を歌い踊ったりして交流していて特攻隊の隊員に手作りの人形をプレゼントし、それを操縦席に吊るして出撃していたなんて、彼等がどんな想いで最後を迎えたのかと考えると悲しくなってしまいます。そして女の子の初恋相手が遊んでくれた特攻隊員なんてすごい時代だったんだなぁ。2017/09/08
0717
4
大東亜戦争末期、信州松本に疎開した東京の小学生。引率の先生が名付けた名前は「鉛筆部隊」。鉛筆を武器に家族や兵士の慰問に手紙を書きまくる。元疎開児童が発したメールをもとに、疎開した小学生と「武剋隊」、「武揚隊」等の特攻隊員との交流が明らかになってゆく・・・。読み進むうちに次から次へと新事実が明らかになってゆき、謎解きのようで面白かったです。2013/09/13
takao
1
ふむ2021/12/02
komaberry
1
長野に疎開した児童たちとその土地に立寄った特攻隊員たちとの実際の記録なので、小説と違いリアルに当時の情景を思い浮かべることができた。残された写真に写る隊員たちの顔を見るとまだあどけなさを残してはいるが目は真剣さをたたえているように見える。きびしい訓練の合間の学童との触れあいは過酷な現実から離れられた瞬間だったのだろう。戦争だったとは言え、優秀な人材が多く失われたことに胸が締め付けられ切なさでいっぱいになった。 2013/09/02