内容説明
ワルシャワからニューヨークへ移住、ユダヤ人社会の現実と幻想の境界を超越して描き続けた…。「短編の名手」といわれたノーベル賞作家、最初の短編集、完訳。
著者等紹介
シンガー,アイザック・B.[シンガー,アイザックB.][Singer,Isaac Bashevis]
1904年、ポーランド生まれ。20年、ラビの父の影響でワルシャワ・ラビ養成神学校で教育を受ける。25年、文芸コンクールで一等を獲得、イディッシュ語作家としての経歴が始まる。35年、アメリカへ移住、ニューヨークに定住し、43年帰化。45年、イディッシュ語新聞に大長編『ムシュカット家』の連載を始める。以後、長編、短編、童話、自伝的回想録などを発表し続ける。短編「ばかものギンペル」がソール・ベローによって英訳された頃から名声が高まり、1978年にノーベル文学賞を受賞した
村川武彦[ムラカワタケヒコ]
1929年、山形県生まれ。東北大学経済学部(旧制)卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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刳森伸一
3
訳あって再読。初読のときは表題作の印象もあって優しい気持ちになれる短篇集のように思えたが、理不尽な悪を描いた短篇が多く、それほど単純なものではないことに気付いた。理不尽な悪の背後には当然ナチスによるホロコーストの影があるのだが、それに対応する策すら見当たらない。つまり、この世は悪に満ちていて、救いがない。一方で信仰が救いになることもあり、シンガーの内面で揺れるものが見える気がする。2017/03/16
どんちゃん
0
ユダヤ人のお話なんだぁと、結構読んでから気がつきました。欧米的なお話だとは思ってましたが。丁寧な物語たちという印象。2015/11/29
刳森伸一
0
全てアシュケナージ(東ヨーロッパ在住のユダヤ人)の物語ですが、そんなこと気にしなくても楽しめる短編集だと思います。2012/08/10