内容説明
さまざまな解釈理論を生みつづけるヘンリー・ジェイムズ。ジェイムズが生涯をかけて追求した「リアリズム小説」とは何だったのか。彼の「モダニティ」に内在する諸々の関係性のなかに「小説家ジェイムズ」が立ち現われる。
目次
序章 ヘンリー・ジェイムズとモダニティ
第1章 模索するヘンリー・ジェイムズ
第2章 「円熟期」小説の構造
第3章 補強する作品群と「セクシュアリティ」および「近代」
第4章 小説家たちの中のヘンリー・ジェイムズ
第5章 ジェイムズと「フィクションの家」
第6章 「富」と「抽象」―ヘンリー・ジェイムズとウォレス・スティーヴンズのフロリダ
第7章 「黄昏/金色の嘘」と『黄金の盃』―テクストの構造と読みの多様性について
著者等紹介
海老根静江[エビネシズエ]
お茶の水女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きつね
4
イヴ・セジウィック、レオ・ベルサーニらセクシュリティを軸にした読解に共鳴しつつ、イデオロギー的批評からは距離を取って作家の総体を描こうとする。HJ論の典型的なパターンへの目配せがあり初学者としては助かった。とくに『黄金の盃』論は青木氏のそれより共感できる切り口だった。それだけにもっと詳しく読みたい感じが残るのもたしか。全体的に「総体」を論じるために個々の読解があっさりめなのは仕方ないにせよ悩ましいところ。2012/12/22
ゴリラ爺
0
セジウィック、ベルサーニ、ブルックス、①肖像ミラー悲劇の美神ドンヴィル向こうの家ねじ聖なる泉②円熟期③セクシュアリティ密林の野獣ボストンの人々④プルーストバルザックトルストイフローベール⑤フィクションの家とHGウェルズ論争⑥旅行記アメリカの風景とウォレススティーヴンズのフロリダ詩⑦黄金の盃と映画、リアリズム、教養小説、結婚小説、世紀末デカダンス、ワイルドとのライバル関係、ロココ文化、ラシェル、サラ・ベルナール、エレン・テリー、ホモセクシュアル・パニック、ボストン・マリッジ、情念、嘘と意志、ヴェニス、場所性2021/07/10