内容説明
バラク・オバマは政治家になる前の若き日々を、無名時代に自らの手で書いている。その“文学性豊かな”回想録を手がかりに、文学・文化・歴史という大きな枠組みのなかで現代アメリカの問題をとらえようとする試み。
目次
人種・言葉・文学―序にかえて
第1章 “心の旅”への案内図―文学としてのオバマ自伝
第2章 人種の壁を越える試み―フレデリック・ダグラスからバラク・オバマへ
第3章 「人種」と「遺産」をめぐるアメリカの対話―バラク・オバマの自伝とウィリアム・フォークナーの小説
第4章 人種/階級/文化の狭間で―現代黒人文学とオバマの自伝
第5章 恐怖を越えて希望へ―物語と、歌と音楽と
著者等紹介
里内克巳[サトウチカツミ]
現在、大阪大学言語文化研究科准教授。専門は、19‐20世紀転換期アメリカ文学における人種・階級・ジェンダー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バラク・オバマが政治家となる以前の若い日々を、彼の書いた回想録を手掛かりに辿り、黒人であることがもたらした文学・文化・歴史の枠組みを捉える本。彼の自伝は「ひとりの少年が父を探し求め、その探索の中でアメリカ黒人としての価値ある意味を見出していく」といった、アメリカ文学的な個人の内面の旅の記憶である。今でこそ人気は陰ってしまったが、黒人を題材とした文学や文化人の文脈で彼を見ると、つくづく(当時は)選ばれるべくして選ばれた大統領なのだと再確認できる。オバマ大統領が辞任したとしても、その信念は捨ててはならない。2012/01/22