内容説明
“事実”に基づいて過去を検討することが必要だ。そして、どうすべきかを考える以外に道はない!―。冤罪「松川事件元被告」の佐藤一による最後の書。
目次
「原光景」はどういう光景か
理想の時代が懐かしい
「攪乱」手段は空気とムード
動機不明?主謀者なし?
これはなんだねぇ?
「資料」「記録」の粗製濫造
ソ連・中国共産党を怒らせた日本共産党
家族の語り
総帥とは嘘をつく臆病者のことか
幽霊の正体見たり枯れ尾花
そっくりで、似てはならない妙なもの?
朝日のエース記者は「ほとんど病気」
朝日のエース記者は「ほとんど病気」
(続)
総帥矢板玄はどうなったのか
藤井忠俊は資料を嫌う歴史学者か?
「敗北の文化」が語る「復讐の形式」
不思議不可思議で幕開けの「理想の時代」
東大総長・法医学教室・朝日の共同戦線
東大の権威を背負う人格と品性
政府・G2自殺発表を押し潰す
追放は徳田らのマッカーサーへの懇願?
清張説幻と消え主役は南原繁へ?
「曲学阿世」といわれても曲げる学があるの?
新聞記者はいい加減で暢気な商売ね
謀略説・陰謀説を創り走らせる人びと
著者等紹介
佐藤一[サトウハジメ]
1921年栃木県日光市生まれ。1949年8月松川事件発生、容疑者として逮捕される。1963年無罪判決確定後、下山事件の研究に取り組む。2009年6月17日心筋梗塞のため急逝(享年87)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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蟹
3
書きぶりというかトーンにちょっと引いてしまうが、いわゆる「他殺説」への疑問についてしっかりと書いている。松川事件の元被告である筆者の、該博で理路整然とした考えには感服するばかり。たしかに他殺説ばかり目立ってしまい、戦後の混乱もあって怪しい情報が「定説」になってしまっているのが現状である。少なくとも、この本に取り上げられている他殺説への疑問に反論してからでないと、他殺説は語れないだろう。2020/03/22
saksak
1
他殺論を柴田から清張、矢田まで一通り読んだところで、自殺論も読まねばねの義務感だけで取り掛かったが、これが物凄い。まさに事実を積み重ねて築き上げた堅牢な砦。先の論者が束になっても敵わない。他殺論対自殺論イコールサスペンスフィクション対ジャーナリズムノンフィクションぐらいの隔たりがある。確かに柴田など物語としては極度におもしろいが個々の事象がふわふわしていて読み終わるとほとんど覚えていない。重要なのはこれが自殺論の「主張」ではなく、他殺「風潮」許すまじの警鐘であること。もっと注目されるべき一冊。2010/05/01
たつのすけ
0
◎2016/04/12
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